▲Supercar『Futurama』(2000年11月)
研究生: |
Futurama |
2000年前後は、ダンスミュージックの要素を意識する邦楽ロックアーティストが登場し始めた時期。スーパーカーの場合、ロックバンド的サウンドをキープしつつ、レイヴ的な“ラインの向こう側”の情景を表現しようとしていた印象です。こういったテーマを鳴らそうとする邦楽ロックバンドはこれ以前から存在していました。ところが、日本的な土着感を前面に押し出した説教臭いのも少なくなかった。しかし、スーパーカーは90年代初頭の洋楽オルタナティヴロックからの影響にこだわり続け、本作でついに“突き抜けた”感がありましたね。80~90年代の邦楽ロックとのしがらみが断ち切られ、やっと「新世代」的な何かが始まりそうな期待感を携えていました。ナンバーガール『SAPPUKEI』とともに、ゼロ年代邦楽ロックの始まりを告げる一作だったように思います。
助手:ダンスミュージックの要素を意識する邦楽ロックアーティストということでいえば、このアルバムと中村一義『ERA』(2000年9月)、それから2001年のセレクトで登場しますが、くるりの『Team Rock』の3枚がその代表格でしたね。ただ、ほかの2組がどちらかといえば”いまの気分"としてダンスミュージックを取り込んだのに対して、Supercarの場合、研究生のいうダンスミュージックが持つ”ラインの向こう側”を追求した結果、崩壊してしまったような印象を受けました。変なたとえですが、フィッシュマンズみたいになっちゃうんじゃないかという心配さえしましたもん。一時期。