サウンド解析
博士:「Baby cruising Love」以後、三連続でそうですが、第一印象はやや期待はずれって感じなんです。でも、私の場合添付のオケを聞いて再認識し、やがて“スルメ化”という傾向がここのところ続きますね。 前作の「love the world」に感じたような神がかり的な処理は感じず、サビに続きお決まりの間奏からA~Bメロの続く本来の中田P唄モノの定番を踏襲したオーソドックスな仕上りですね。
オケを聞くとドラムは割合ナチュラルな手弾き風、電子音エレワ風のギターも抑え目で終始ピアノのコードワークと、ブリブリベース以外は意外とエレクトロでもクラブサウンドでもなく普通の歌謡曲の範疇です。中田Pにしては珍しく4拍目から入るメロディアスなメロディーですね。
実はこのサビ、Airaの「ロボットハニー」のサビとマッシュでききそうなのですが、むしろ「ロボットハニー」の方が1拍からガツンと入って当初の中田Pの作風を踏襲していたりします。後半、「ポリリズム」でも見せた鍵盤追尾式のヴォーカルがオブリガートを奏でます。そのとき手振りで手をメガホンみたいにするのですが、あれはシンセ音じゃなく自分達の声だって主張しているみたいにも見えます。
やっと『Sound & Recording』誌に登場し、その製作ノウハウがおぼろげながら見えてきた中田Pですが、やはり以前指摘したように声処理は鍵盤追尾式でやってるみたいですね。しかし、最近モンキーマジック風の駆け上がりフレーズがブームなんでしょうか? また入ってますね。
先生:
余談ですが、コスメティックロボットというPerfumeを意識したアイドル3人組がいますが、彼女たちのデビュー・シングル曲「シリアルナンバー99」も、「モンキーマジック」していますね。しかし、1,999円というシングルの値段には未だに納得がいっていません。
助手:
サウンド面でもやっぱり「Dream Fighter」には、あまりグッと来ませんでした。もちろん武道館で聴いたときは、すごく大バコ向きの曲だなあという印象は受けましたし、俗に言うアイドルポップスやJ-POPという文脈の中ではズバ抜けて素晴らしい出来だとは思うのですが、やっぱり手放しで絶賛できない。よく“Perfumeは期待をいい意味で裏切ってくれる”みたいなことを言われていますが、この曲に関して言えば“期待されるPerfumeをそのまま体現した”というのがサウンド面からも感じられるんです。
変な話、ほんとうにPerfumeの次のステップを考えるなら、こういったキラキラテクノポップな印象を更新するような、それこそ「マカロニ」であったりカップリングの「願い」であったり、あるいは「GAME」や「edge」のような楽曲をシングルとしてリリースする時期に来ていると思うんです。これは愛ゆえの変態的な苦言だと思ってほしいのですが、ホント次のシングルが勝負ですよ。「Dream Fighter」のような楽曲が次も来ちゃうと、世間的には厳しい状況になりかねません。PerfumeにはSMAPのように末永くサヴァイヴしてほしいのです。