テクノポップ/アーティストインタヴュー

哀愁対談~笹師範「その日のまえに」出演!(5ページ目)

本秀康さんとの絵本『ヘンなあさ』、大林宣彦監督の『その日のまえに』にも出演した笹公人さん(師範)を迎えて、哀愁について語り合います。よろしく哀愁☆

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

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大林映画

先生:
その頃から大林監督作品が好きだったんですか? やはり、『HOUSE』から? いい意味でのカルトホラー映画ですが、なんだかヌードシーンが目に焼きついています。

師範:
小学校3年生くらいの時にテレビで『転校生』を観て以来、大林映画のファンになりました。『HOUSE』も大好きでした。ただその頃はどちらも大林監督作品であることは意識していなかったと思います。ある時期に、好きな映画のほとんどが大林監督作品であることに気づいて、それ以来意識するようになりました。

『転校生』と『HOUSE』は何百回観ても飽きないですね。『HOUSE』の映像は二周りくらいして、今の時代にまた新しいと思います。ああいう電気紙芝居的な音楽PVをつくったらオシャレに決まると思います。

先生:
尾道三部作と呼ばれるのが、『転校生』(1982年)、『時をかける少女』(1983年)、『さびしんぼう』(1985年)ですが、『転校生』で二人が神社の階段から転げ落ちるシーンは今でも目に焼きついています。目に焼きつきやすい体質なんです。

師範:
あれは目に焼きつきますよね。それと、コーラの空き缶がカラコロと転がる音も耳に焼きついてます。ロケ地めぐりであの神社に行った時、試しに石段を数段転げ落ちてみたのですが、意外と急でもの凄く痛かったです。あの撮影はスタントマンが厚着をしてやっていたと後になって知り、そりゃ痛いわけだと思いました。良い子は真似をしないほうがよさそうです。漫画家のとり・みきさんも試しに転げ落ちたみたいです。

先生:
幸宏さん主演の『四月の魚』も大林監督ですね。

師範:
そうでしたね。あれは主題歌も凄く好きです。幸宏さんは、おなじく大林監督作品「天国にいちばん近い島」で、原田知世さんのお父さん役をやっているのですが、その二人がいまやバンド(pupa)を組んでいるので不思議な感じがします。天国にいちばん近いバンドでしょうね。

ベスト3

先生:
師範は数多い大林監督作品で、ベスト3を挙げるとすれば?

師範:
非常に難しい質問ですね。『転校生』は不動だと思います。あとの2つはその時々によって、しょっ中入れ替わってます。その作品とは、『HOUSE』『さびしんぼう』『時をかける少女』『異人たちとの夏』『ふたり』『青春デンデケデケデケ』の6作品。そして、新たに今回の『その日のまえに』が加わりました。

同じ質問を長年の大林映画ファンである南原(ナンチャン)さんにしたのですが、やはりしょっ中入れ替わるから決められないとおっしゃっていました。自分が出ているというのは関係なしに、『その日のまえに』は大林監督の新たな代表作になる傑作だと思います。

先生:
大林監督に惹かれる師範の気持ちは分かるような気がします。やっぱり、キーワードは哀愁ではないでしょうか?

師範:
そうかもしれませんね。大林監督からは哀愁のほかに、抒情とノスタルジーを学びました。大林映画と出会っていなければ、自分は歌人になっていなかったと思います。
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