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完璧な模造品~DEADCOPY(2ページ目)

20世紀末、ネオニューウェイヴ・シーンで異彩を放っていたDEADCOPYが突如復活、アルバム『original deadcopy』をリリース! みんな、「メカパンダ」を聴こう!

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

DEADCOPY=模造品

ガイド:
DEADCOPYって凄いニューウェイヴ精神に溢れる素晴らしいネーミングだと思います。これは誰の発案ですか?

イガラシ:
これは、ビデオゲームが好きだった私が考えました。90年代の当時は、「再」を表す「RE」しかなくて(リミックスなどの「RE」です)、新しい表現というのが世の中には感じられませんでした。そして、矢継ぎ早にモデルチェンジを繰り返していた20世紀は終わりを迎え、21世紀には新しいコンセプトが必要なのに、誰も提示できないというとても閉塞的な環境だったように私は感じていました。

ニューウェーブは、音楽の前にコンセプトが大事です。そこで、日本人が出来る音楽のアイデンティティってなんだろう、真面目に思ったときに、そういえば日本人はコピー民族だと揶揄されていると思い当たりました。そこにユーモアを加えて、「新しいものはなくて、全てがDEADCOPYでも、そこから何か生まれるんじゃない?」と開き直ってつけたのがこの名前です。

一言付け加えると、DEADCOPYは80年代初頭のビデオゲームに溢れていました。「スペースインベーダーもどき」、「ドンキーコングもどき」、「パックマンもどき」を目にされた事のある方もいると思います。それら多くのコピー製品は、本物よりも色数がすくなく、どこか端折られ、その分奇妙な魅力を放っていました。だから、その名前はコンセプトにぴったりだったのです。

シノダ:
ぼくは英語名バンド・英語表記バンドというのに猛烈な抵抗感があったので、(和製英語はセーフ)当初は反対していました。デッドなのかデットなのか定まらないのも座り心地が悪かったからです。ただ、コンセプトがはっきりしてるためデザインを展開するのが非常に楽で(チラシなどのデザインを担当していたため)、そういう意味ではよくできたバンド名だな、と途中から気づきました。

タムラ:
確か自分を含め、残り二人がピンと来てなかったのは覚えてます。デッドコピーのちゃんとした意味を知ったのはしばらく後になってからだったと思います。

FLAGSHIP PARTY VOL. 1と電染病ラボ

ガイド:
FLAGSHIP PARTY VOL.1
最初にDEADCOPYを知ったのは、『FLAGSHIP PARTY VOL.1』(1999年)という千葉系ニューウェイヴのコンピです。
「電染病ラボ」というライヴ・イヴェントがあったそうですが、それはどのような集まりだったのですか?

イガラシ:
『FLAGSHIP PARTY VOL.1』はS.V.Dの松本さん主導で、「電染病ラボ」はスカイフィッシャーの中山さんと、全く異なるオーガナイザが率いていたことをお忘れなく!

「電染病ラボ」は、スカイフィッシャーの中山さんが率いていたイベントです。後輩の私たちが言うのも恐縮ですが、テクノではないテクノというか、高い実験性と集客力が伴った強力なイベントでした。一つ一つのバンドを挙げることができないのが残念ですが、30分間でエフェクタのつまみをひとつだけ触るユニットや、逆にシークエンスやシンセサイザをまったく使わないニューウェーブのバンドなど、極端さと多彩さがいっぺんに見られるイベントでした。大学のしかも同じサークルの先輩がこのようなイベントを率いていたことは、やはり辺境のマジックだと思います。

『FLAGSHIP PARTY VOL.1』は、S.V.Dの松本さんが主催しているレーベルのコンピレーションCDです。松本さんもご出身が千葉で、こちらは新宿のJAMで一緒に対バンさせて頂いたのきっかけで、声をかけていただきました。FLAGSHIPのイベントは、現在進行形で行われています。こちらは、地元と仲間を大切にしていることで、独自性を持ち続けていると思います。私たちが東京出身だったらお声はかけていただけなかったでしょう。

シノダ:
当時はDEADCOPYと前後して、中山さんと現・ヤング100V茶谷さんと「船橋ヘルスパワー」というバンドでもギターを弾いていましたので、そちらでも電染病には出演したり電染病コンピCDに入ったりしておりました。まだ用意してもらった場で演奏するのにいっぱいいっぱいで、いいイベントに出てたんだなあという実感を得るのはずいぶん後の話ですね。
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