幻のLLE

ガイド:
LLEというバンドで活動されていたんですよね。残念ながら聴いたことがないのですが、どんなサウンドを作っていたんですか?

メカノ:
中野ライヴ
あはは。そこ来ますか。正確にはLLEという名前のバンド集団があって、そこのレコード製作係だったんです。インディー以前の「自主制作」の時代ですね。私はイギリスでインディ・レーベルを体験していたので、日本でもやろう、と思っていたんです。81年から4年までかな。カトゥラ・トゥラーナとかメトロファルス、リビドーなんかはLLEがデビューです。そこにはまだ米米になっていなかった石井達也もいたんですよ。

私のバンドはD.R.Y .projectといってカセット・アルバム二本とシングル二枚作りました。全然売れなかったけど。音はリズムマシンとシンセのリフやベースをカセットのピンポン録音で重ねてオケを作って、ライヴではエレクトリック・ドラム入れて、私はシンセとギターと、恥ずかしながら唄も歌いました。
 
自分で「良い」と思ってやっていましたから自信はありましたよ。レコードは「ロックマガジン」にも好評が載ったし、来日したジョン・ピールが気に入ってラジオでかけてくれました。でもそんなスタイルと音楽って当事他にいなかったんで対バンには苦労しました。結果的には自分をプロモーション出来なかった、というのが敗因ですかね。

たまに聞きたいと言ってくれる奇特な方がいらっしゃるのですが、マスターがオープンリールなんで再生出来ないんです。そこからちゃんとCDにするにはかなりの作業時間がかかりそうで、なかなか…。

ジャーマン・ロック

ガイド:
ジャーマン・エレクトロ・リミックス
中野さんは1997年にMARQUEEから出た『ジャーマン・エレクトロ・リミックス』を編集されているジャーマン系研究家としても知られていますが、この本を作ったきっかけは?

メカノ:
ジャーマンロックって70年代はプログレに分類されてたんですよ。キング・クリムゾンやジェネシスと比べられて。で、当然評価は低かったんです。妖精物語じゃないし変だから。ところが何にも似ていないから10年後、20年後に別の方向から聞いても驚ける。ジャーマン・ニューウエーブ、ジャーマン・テクノと時代を移ろいながら、でも「踏み外しても一本槍」なジャーマン音楽は面白いものが多いです。それぞれに愛好者はいますが、そこを全部貫く「流行り歌ではない核を持った音」がわかると、より音楽が深く、面白く聴けるのではないか、と思いまして。あと私の音楽の聞き方、変遷ってのは同時代には賛同者に出会った事が無かったので、あの本を出した当時はそれが伝わるかな、と思いました。でもあの本から10年たっているので今やったらかなり違う切り口になると思います。