テクノポップ/海外のテクノポップ

ノルウェーのニューウェイヴの過去と現在

80年代のノルウェーはa-haだけではなかった。フラ・リッポ・リッピなどがいたUnitonは、ノルウェーのポストパンク・レーベル。一押しは、ノルウェーのニュー・オーダーことロレイン!

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

ノーウェジアン・ニューウェイヴ

前回はロイクソップに代表されるノルウェーのエレクトロ~ラウンジビーツ系を中心に紹介しましたが、ニューウェイヴ系に焦点を当てましょう。ノルウェーはa-haだけではありません。80年代よりニューウェイヴ・シーンもありました。その中心が、Unitonというニューウェイヴ系インディー・レーベルです。そこからは、初期のフラ・リッポ・リッピ(Fra Lippo Lippi)やHoly Toy、Viva、De Press、Tim Storyなどがリリースされていました。

北欧のジョイ・ディヴィジョン~フラ・リッポ・リッピ

フラ・リッポ・リッピはノルウェー語でありません。由来は、イギリスの詩人のロバート・ブラウニング(Robert Browning)が題材にしたイタリアの画家であるフラ・リッポ・リッピ(又はフラ・フリッポ・リッピ)から。メンバーは変動していますが、ルネ・クリストファーセン(Rune Kristoffersen)が中心に結成され、セカンド以降参加したヴォーカル担当でもあるペール・オイステイン・ソレンセン(Per Øystein Sørensen)は実質解散後の'00年代もフラ・リッポ・リッピとして活動しています。

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The Early Years
北欧のジョイ・ディヴィジョン(Joy Division)と呼ばれていた頃の初期フラ・リッポ・リッピが聞けるのが、この編集盤『The Early Years』(2003年)。Unitonからのファースト『In Silence』(1981年)とセカンド『Small Mercies』(1983年)とシングルのB面を収録しているので、お買い得です。ジョイ・ディヴィジョンほどは暗くなく、暗さは4AD程度のニュー・オーダー(New Order)といった感じです。

Songs(Easter盤)
フラ・リッポ・リッピの代表作と言えるのがサード『Songs』です。カジ・エリクソン(Kaj Erixon)によってプロデュースされたオリジナルはEasterから1984年にリリースされましたが、1985年にVirginよりキュアー(The Cure)やデペッシュ・モード(Depeche Mode)などのプロデュースで知られるデイヴ・アレン(Dave Allen)の追加プロデュースによりメジャー・デビューとなりました。彼らの出世曲と言えるのが、収録の「Shouldn't Have To Be Like That(傷だらけの心)」です。Zabadakの「水のソルティレージュ」の原曲でもあります。このアルバムでバンドメンバーも増え、ピアノが目立つメローなある種AORな作風へと変貌を遂げました。

『Songs』の後、彼らのもう一つのルーツと言えるスティーリー・ダン(Steely Dan)のウォルター・ベッカー(Walter Becker)をプロデューサーに迎えた『Light And Shade』(1987年)、『The Colour Album』(1989年)、『Dreams』(1992年)とリリースしていきます。クリストファーセンが抜け、ソレンセンのみとなったフラ・リッポ・リッピとしてフィリピンのみで『In a Brilliant White』(2002年)という復活アルバムをリリースしています。日本でもそこそこ人気のあるバンドですが、本国以上にフィリピンで大人気という現象は大変興味深いです。確かにマニラのタワーレコードでフラ・リッポ・リッピのコーナーがあった記憶があります。

The Best of Fra Lippo Lippi
さて、ここで紹介している現在発売中のベスト盤『The Best of Fra Lippo Lippi』(2003年)は、Virginとの契約のもつれから『Songs』から『Dreams』までを新たにレコーディングして作られたベスト盤です。オリジナルよりサウンドは哀愁が軽くなってしまった気がします。オリジナル・ベストにこだわるのなら、中古で見つけるしかないです。


比較的最近のシーンを見てみましょう。
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