MENUとしてデビュー
ガイド:ドドンカドン! |
星:
ええ、道成さんは洋楽のライナーノーツを書いていた音楽ライターだったのですが、確か1982年になって京極が連れてきたと記憶しています。京極はLe Menu以前に僕とV-27というバンドをやっていましたが、それ以前に東芝からルイスというアイドル系バンドでデビューしていましたから、その関係で知り合った人脈だったと思いますね。バンドのリハーサル時に突然現れて、「Le Menuをぜひプロデュースしたい、オレに任せてくれないか」って感じでした。ユピテルとの契約に漕ぎ着けるまでは、彼がバンドの広報担当兼マネージャーみたいな感じでしたよ(笑)。
ガイド:
明るい家族計画 |
星:
それに関しても記憶は曖昧なんですが(笑)、抜けちゃったメンバーに対する気遣いもあったんですが、ちわきと二人でMENUとして再出発するに当たって、新しい曲をやりたかった、作りたかった、という思いが強かったせいじゃないかな。それとLe Menuの曲は全員でアレンジして仕上がった曲がほとんどですが、作曲者を明記する際に誰がどの曲の主導権を握っていたかというのを明らかにするのが面倒くさかった(笑)というのが本音かもしれないですね。
あ、でも他にもレコーディングした曲はありますよ。「きいろいスリッパ」も「ツチノコさん」もLe Menuの頃からのレパートリーですね。当時の音源が残っていないだけで。
MENU では僕が曲を作り、歌詞の断片をちわきに渡して膨らませてもらうというパターンでしたね。
ちわきさんの裏声唱法の秘密
ガイド:ちわきさんの素っ頓狂とも言える裏声はどのように確立されていったのですか?
Le Menu時代は地声で歌った曲もあるようですし。
星:
あれはね~、全く偶発的に発見したんですよ。曲を作っていってスタジオでリハーサルするワケですが、なかなか彼女が歌いやすいキーが見つからなくて、どんどんキーを上げていって、もうオクターブ巡っちゃったのにまだしっくり来ない。で、他のメンバーはサウンドを固める方に気持ちが行っちゃってるから、ちわきを放って置いてどんどんリハを続けちゃうんですよ。そうしたらちわきも焦ったのか開き直ったのか、例の裏声で絶叫しだしたんですよ(笑)。みんなビックリしたけど大笑いしながら演奏したんですよ。その瞬間に、「Le Menuのちわきまゆみ」というキャラクターが誕生したとも言えますね。「ソレだよ~、ソレ!!」って感じでね(笑)。そして、そのちわきの歌声に触発された曲作りをするようになり、バンドの個性も確立していったというワケです。
MENUがデビューした時に、ウケを狙った作為的なキャラクター作りだという穿った見方をした関係者もいたようですが、本当に自然発生的に生まれた個性なんですよ。そうしてメンバー全員が突然変異的に誕生したLe Menuという個性に向かって磨き上げていったという感じですね。そういう過程を経ていましたから、Le Menuというのは本当のバンドだったんです。