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女性シンガーのレゲエ歌謡(3ページ目)

YMO、加藤和彦に続く、和製ニューウェイヴ的レゲエ歌謡の第3弾はムーンライダーズ仕事から。女性シンガーにもスポットを当てました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

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女性シンガーのレゲエ歌謡

【山本】例えば庄野真代のアルバム『逢・愛・哀』(1982年)収録の「心中芝居」がそうですね。オインゴ・ボインゴが演奏に参加、ということで話題を呼んだアルバムです。残念ながら「心中芝居」に彼らはノータッチですが、マイナー調王道レゲエ旋律と本格派バッキングを受けて、堂々たる歌唱を聴かせる庄野真代が頼もしいです。


【先生】「飛んでイスタンブール」→「モンテカルロで乾杯」→「マスカレード」→「ジャングルコング」→→→→「スローボートでチャイナへ」といった曲を出した事からも分かるように、世界一周が大好きな庄野真代ですから、レゲエに行くのは当然ですね。しかし、タイトルに「ジャマイカ心中」とか使ってほしかったですね。

【山本】まだありそうな気がしますね。今後の研究課題としておきます。もうひとつ、私の愛聴曲でもあるラジの「ママミヤ」(1985年のアルバム『午後のレリーフ』からシングル・カット)には是非とも触れておかないと。浮遊感溢れるスウィート・ラヴァーズをちびっこコーラスが彩る、俺的和製ラヴァーズ名曲です。午後のティータイムのお伴にどうぞ。

【先生】ラジと言えば、幸宏プロデュースのニューウェイヴなアルバム『真昼の舗道』(1980年)がありますが、糸井重里=鈴木慶一コンビでスカとツイストが融合した裏ムーンライダーズ的「ヨジレアン・ツイスト」という唯一無二のスカツイスト歌謡をやっています。

【山本】言われてみれば…(と奥の部屋に引っ込む。5分後)…なるほど、やっぱりかっちょよかですなあ。ところで、「シティポップ系女性シンガー」「ニューウェイヴ化」「レゲエ歌謡」の三つのお題に最もしっくりくるのは、やはり越美晴でしょう。細野晴臣プロデュースのアルバム『美への耽溺(パラレリズム)』 (1984年)収録の「Capricious Salad」は、高速テクノ・ポップmeetsスカといった趣きの一曲。なにしろ歌声がキュ~トなことこの上なく、独り身の男子が夜分に聴いたら悶死確実と巷では言われてます。たまらんですね。

【先生】やっぱり、YMO周辺に戻りますね。今まで、レゲエ歌謡という視点で聴いていなかったので、今回の企画でかなり再発見しまくりです。まだ、掘れば出で来るでしょうね。もう無いですか?

【山本】しばらくニューウェイヴで話が続きましたので、トドメの一撃を。遂にはニューウェイヴの本場ドイツに渡ってしまった小林"mimi"泉美にもレゲエ歌謡がありますね。彼女は、TVアニメ「うる星やつら」の音楽担当としてよく知られてますが、それ以前から南国系編曲の確かさには定評があり、フュージョン・バンド"パラシュート"に参加した際にも手腕を振るってます。で、かの有名な「ラムのラブソング」もサンバ・アレンジ全開なわけですが、同じサントラからシングル・カットされた「I,I,You&愛/LOVE GAME」(1982年)が両面ともレゲエなんですよね(ジャケ写は「I,I,You&愛」収録の『うる星やつら TVテーマソング ベスト』)。これは歌謡曲の世界では実に稀なことです。ちなみに、「LOVE GAME」は、ミミさんのソロ・アルバム『Nuts,Nuts,Nuts』にも収録されてます。
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