【ディスコパンク系】
所謂ディスコパンクをエレクトロクラッシュの一部と捉えるかその対極と捉えるかは、意見が分かれるところでしょうが、エレクトロクラッシュとディスコパンクがクロスオーヴァー化しているのは、最近のトレンドと言えます。ディスコパンクと呼ばれている人たちの中でも、ディスコ的要素が弱いポストパンクやほとんどガレージ的なものもあり、シーンは混沌としています。先ずは、DFAプロデュースを中心としたNYCのノーウェイヴ系列から。
『MUZIK presents Disco Punk』(2003年)
以前、Miss KittinのエレクトロクラッシュMIXのCDが付いてきた号を紹介しましたが、4月号はDFAのディスコパンク・ミックス! 最近のアメリカ、特にNYCのクラブ・シーンは侮れません。ノーウェイヴやポストパンクの系譜上にある、ちょっと変態気味のぶっといファンク・ディスコとでも呼びましょうか。エレクトロクラッシュともオーヴァーラップしていて、FischerspoonerやLe TigreのDFA MIXも収録されています。ボアダムスの山塚EYEがリミックスしたBlack Diceなんかも。オススメ! このUK雑誌は、付録のミックスCDが魅力でよく買っていたのですが、残念なことに2003年8月号を最後にして休刊。
『No Wave』(2003年)
最初の2曲は、fischerspoonerの「Emerge」とFelix Da Housecatの「Sliver Screen Shower Scene」なので、エレクトロクラッシュ的な選曲と言えますが、このコンピは「エレクトロクラッシュではない!」と言い切っています。確かに3曲目からは、Death In Vegas、Radio 4、The Raptureなど最近注目浴びつつあるディスコパンク~ネオ・ポストパンク的なものに成ります。70年代末に於けるノーウェイヴと言う言葉自体、ニューウェイヴの商業的部分に対する差別化のための言葉ですが、これは表裏一体なわけです。エレクトロクラッシュが「陽」とすれば、ノーウェイヴ(ディスコパンクまたはデスディスコまたはポストパンク云々)は「陰」だと捕らえてもいいでしょう。
『DFA Compilation #1』(2003年)
James MurphyとTim Goldsworthyからなるプロデューサー・ユニット、DFA(Death From Above)のDFAレコードからの(多分)12インチ・ヴァージョンを収録したレーベル・コンピレーション。所属のThe Rapture、LCD Soundsystem、The Juan Maclean、Black Diceの4組がそれぞれ2曲づつ・・・所謂、ポストパンク(いやポスト・ポストパンクと言うらしい)やディスコパンクが躍動。最近、何処までがディスコパンクかわからなくなってきていますが、この辺は真髄。
『The Sound Of Young New York』(2003年)
「若きニューヨークのサウンド」・・・ちょっと恥かしくなるタイトルですが、中身はなかなか濃いです。アメリカのメインストリームとは離れた、保守的なアメリカとは距離を置いた、ニューヨークの音がここにはある。と言ってもrinoceroseやMetro Areaなどのニューヨークではないアーティストとのコラボ的要素もある。当然、DFAとかも絡んでいるので、ディスコパンクがよりエレクトロに接近。
『YES NEW YORK』(2003年)
ブライアン・イーノがプロデュースした『NO NEW YORK』というNYパンク(ノーウェイヴ)系のコンピが1978年にリリース(再発中)されていますが、そのオマージュ(ジャケも相似形)とも言えるネオ・ノー・ウェイヴ(?)系コンピ。The Strokesに始まり、DFA系のRadio 4、The Raptureなど。The Roger SistersはB-52'sぽくって素直に好き。もろガレージ・パンク的なものから、ポストパンクの延長線上のディスコパンクまでいろいろ。ひと括りにしがちですが、この手のサウンドは、これから枝分かれしていきそうです。