さて、映画『1980』に続く、80'sシリーズは漫画です。実は、僕はほとんど漫画を読まない。嫌いではないのだが、のめり込み易い性格なので、そこまで手が回らない。去年買った漫画と言えば、辛酸なめ子全作品とこの『東京エイティーズ』くらいです。だから、漫画マニア的な見地としての記事ではない事を覚悟ください。

安童夕馬・作/大石知征・画による『東京エイティーズ』は、「ビッグコミック・スピリッツ」誌において人気投票第2位となった好評連載です。映画『1980』も漫画『東京エイティーズ』も、所謂80'sものですが、そこには対照的とも言える世界が描かれています。『1980』は文字通り1980年の物語ですが、『東京エイティーズ』は1982年頃から始まる。当時の時代のスピード感を考えるに、この2年の差は決して小さくはないのですが、それ以上に基本的な80年代感が違います。どちらが良いとかいうのではないですが、この『東京エイティーズ』には、全くと言っていいほど、『1980』に見られたサブカル、アンダーグラウンド、ニューウェイヴな要素はない。ほどほどにメジャーな流行をフォローする軟派な大学生たちの世界です。そして、主人公の早稲田大学卒業の真壁純平は、現在、天下の広告代理店、電報堂の課長・・・絵に描いたような憎らしい設定です。

そういう意味で、この『東京エイティーズ』に共感する人たちと逆に反感を持ってしまう人たちがいたとしても、驚くには値しません。何だか、批判的な論調に聞こえるかもしれませんが、実際の所、僕自身はもう一つの80'sとして十分楽しませてもらっています。僕は学生時代に東京で80'sをすごした訳ではありませんが、ここで描かれている80's的キャンパス・ライフにも、やはり足を突っ込んでいた事を認めざる終えません。でも、「焦燥感」というキーワードだけは、異種であるにもかかわらず、『東京エイティーズ』と『1980』は共有しています。

現在まで3巻出ていますが(第4集は3月30日頃に発売予定)、漫画からサンプリングしたキーワードを見てみましょう。

東京エイティーズ(1)共犯
■POPEYE
真壁純一のベッドに無造作に置かれていた雑誌。「POPEYE」誌は、今もあるけど、1976年8月に創刊。そう、気分はカリフォルニアなシティーボーイのためのカタログ的雑誌。僕も、初期のPOPEYEは結構持っていたのですが、引越しの時に捨ててしまいました。1978年から1984年まで、近田春夫が「THE歌謡曲」という歌謡曲評論というかなり画期的なコラムを連載していました。後に、『定本 気分は歌謡曲』として書籍化されています。ちなみにベッドには、「HOT-DOG PRESS」もあります。ちょっとHネタもあるPOPEYEの二番煎じと感じながらも、読んでいました。やはり、「宝島」や「ビックリハウス」では合わないのか・・・

■ナバーナ
やり手の遊び人、前田裕司が、「もちろんナバーナっきゃないだろ」と言って皆を連れて行く。六本木にあったナバーナですが、行ったことありません。ナバーナの前はキサナドゥ(XANADO)で、そちらには東京の友達に連れて行ってもらった覚えがあります。伝説のディスコと呼ばれていたらしいですが、エッジがあるというのではなく、割とふつ~うの選曲と客層だったような気がします。この漫画でも、E&WF(アースと呼んでいる)の「Let's Groove」、チェンジの「恋のハッピー・パラダイス」、シェリル・リンの「Got To Be Real」、ドゥービー・ブラザーズの「Long Train Running」、そして定番であるBoys Town Gangの「君の瞳に恋してる」などの1978年ごろから1982のディスコ・クラシック(ドゥービーなんかは、純粋にはディスコでないですが)が出てきます。調べてみると、現在、青山でキサナドゥは復活しているようです。チークタイムも復活。そう、当時ディスコと言えば、チークタイムは戦略的に重要なポイントでした。

XANADO