テクノポップ/80年代のテクノポップ

帰ってきた80's~Part 6 1980(イチキュウハチマル)

テクノポリスの空の下、乙女心は乱れる。演劇界の巨匠、ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督が放つ、恥かしくて、胸キュンな1980年をフラッシュバックさせる焦燥感いっぱいの映画。サントラも必聴!

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

何だか、映画のガイドでもないのに3週連続で映画関連記事となりました。KERAことケラリーノ・サンドロヴィッチが脚本・監督として放つ80年代青春映画『1980』・・・80年代回帰現象が叫ばれる昨今ですが、やはりこんな恥かしくって素晴らしい映画は、紹介したい。

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KERAって当然知ってますよね。日本のインディーズ・レーベルの象徴ともいえるナゴムレコード(トレードマークのアヤトリシアワセ印はゲルニカのメンバー、太田螢一によるもの)主宰者。ホントに家内制手工業みたいです。そして、メンバーがくるくる変った有頂天のリーダー。有頂天以外にも、大槻ケンジ、内田雄一郎との空手バカボンやソロとして活動。有頂天後には、映画でも好演したみのすけやP-MODELのメンバーとしても活動した中野テルヲらとのロング・ヴァケーション(21世紀に再活動する予定だったがやめちゃったみたい)や新生ナゴムからザ・シンセサイザーズ(1999年12月のイヴェント「DRIVE TO 2000」でもライヴ)として活動したテクノポップ~ニューウェイヴの落とし子的存在。ナゴムが和製アタタック(ドイツのニューウェイヴなレーベル)ならば、KERAは和製ピロレーター、有頂天は和製デア・プランというの言いすぎです。もっとナゴムの事が知りたければ、平田順子のバイブル的力作『ナゴムの話~トンガッチャッタ奴らへの宣戦布告』(2000年)を読むしかない。

YMOの遺伝子~第2回(空手バカボンも「Rydeen」をカヴァー)
プレパラート過剰(平田順子さんのサイト)

ケラリーノ・サンドロヴィッチは、劇団健康を経て1993年にナイロン100℃を立ち上げ、演劇界の人となる。知らないうちに、ミュージシャンKERAよりも演出家ケラリーノとしての名声を得る事に。2003年初夏、僕も、ムーンライダーズのアルバムのタイトルから頂いたミュージカル『Don't Trust Over 30』(DVDリリースもされています)を見に行きました。かなりメジャーなキャスティング(ユースケ・サンタマリアや最近結婚した奥菜恵)なのですが、ナイロン100℃の役者たちと作り出すナゴムとはまた違う、独特のバランス感覚を持った世界に吸い込まれました。そして、たまたま雑誌でともさかりえのインタヴュー記事をたまたま見かけて、『1980』で映画監督デビューをする事を知り、映画のタイトルだけで行かずにおられない心境となりました。

ナイロン100℃

さて、映画『1980』について。細かい話は、↓の公式サイトに盛りだくさんに掲載されているので僕がここで説明する必要は無い。1,000円出せば、写真の『1980事典』というパンフとしては豪華なパンフも買える。ジョン・レノンが銃弾に倒れた翌日から、そのシーンは始まり、しびれる台詞を銃弾のように放つ先生(長女)を演じる犬山イヌコ、恋多きほとんど淫乱な元アイドル(次女)を演じるともさかりえ、聖子ちゃんカットの岡田有希子のような女子高生(三女)を演じる蒼井優の三人姉妹が繰り広げる1980年の12月の話。1980年を体験した者たちにとっては、こだわりのディテールを発見するたびに辱めを受ける栄光の1980年を供養しているような気分にさせられる映画。そして、さだまさし呼ばわりされるテクノカットの冴えない奴、衣笠君は誰よりも途方も無く悲しい・・・

■1980■
*12月6日よりテアトル新宿で公開。全国でも順次公開予定。詳しくは↑の公式ページ参照。

では、次は重要なサントラ『1980』の解説。
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