テクノポップ/80年代のテクノポップ

帰ってきた80's~Part 6 1980(イチキュウハチマル)(2ページ目)

テクノポリスの空の下、乙女心は乱れる。演劇界の巨匠、ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督が放つ、恥かしくて、胸キュンな1980年をフラッシュバックさせる焦燥感いっぱいの映画。サントラも必聴!

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

サントラ『1980』は、KERAがプロデュース、そして岸野雄一がサウンド・プロデュース。ナゴム・レコードの命名者でもある岸野雄一は、京浜兄弟社の社長。でも、現在は会社(有限会社として登録されていた)としての活動でなく、岸野雄一のプロジェクト的名称と捉えるべきでしょう。本人曰く「集団がきらいな人達が集まって作った音楽研究集団」。つまり、ユルイ閉鎖的集団。ナゴムと京浜兄弟社はスタンスを異にする部分もありますが、人脈的には繋がっています。京浜兄弟社は、加藤賢崇(映画『たんぽぽ』で名演)がいた東京タワーズのファンクラブが母体として常盤響によって名付けれられました。まぁ、そんな人たちがブレインとなって映画にも登場する人たちと共演してできたサントラです。

01. Fantastic Explosion: タイトゥン・アップ
いきなり「テクノ、テクノ」で始まる。朝の登校シーンでの衣笠君と歌川カナエ先生(犬山イヌコ)との会話のサンプリングが挿入された、YMOもカヴァーしたArchie Bell & The Drellsの「Tighten Up」をカヴァー・・・というか明らかにYMOのカヴァーですね。カヴァーしたのは、TransonicのFantasitic Explosion・・・この人たちも辿っていけば、京浜兄弟社へと繋がっていきますね。

02. Plastics: Good
今回、唯一使われた80年代テクノポップのオリジナル。映画の冒頭で使われて、これは普通の80年代ではなくて、あのテクノな80年代を扱った映画なんだと予感させる。

03. KERA: ランナウェイ
KERA自身が、シャネルズのドゥ・ワップ歌謡をニューウェイヴ・ファンク歌謡的にカヴァー。編曲は鈴木慶一(カメラ屋のオヤジでも出演)、演奏はかなりこれまた80年代ニューウェイヴなラインナップ~鈴木慶一、鈴木智文(元ポータブル・ロック)、中原信雄(元フィルムス、ヤプーズ)、金津宏(元プラチナ・キット)。

04. 岸野雄一: 1980サントラ1~三姉妹ハイスクール登校編~
スペース・ポンチとしても活動する岸野雄一によるサントラに造詣が深いと思われる本格的サントラ。

05. 犬山イヌコ: 防人の詩
さだまさしの原曲を鈴木慶一がクラフトワーク型テクノポップにアレンジ。さだまさしと言えば、ニューウェイヴ少年少女の仮想敵国である。もっと悪意がこもったカヴァーかと思いつつ、意外としっくりしすぎてやばい。やはり、衣笠君へのメッセージなのかこれは? 犬山イヌコですが、1993年にKERAがプロデュースした『東京ポーキュパイン・コレクション Vol. 3 feauring INUYAMA INUKO』でロング・ヴァケーションをバックに似非フレンチ・テクノポップを歌っていました。

06. ともさかりえ・犬山イヌコ・蒼井優: 魂のジュリエッタ
出だしからもろテクノ歌謡の確信犯。誰が作ったんだ? 岸野雄一だ。元エキスポの松前公高(この人も京浜兄弟社系)が協力。

07. 岸野雄一: 1980サントラ2~欲望という名の私
ヒゲの未亡人こと岸野雄一・・・途中で「ジンギスカン」になるのが意外で楽しい。

08. SKYFISHER: ゼロ・エミッション
劇中にもライヴ演奏をしてくれるスカイフィッシャー。80年代リヴァイヴァル、エレクトロクラッシュ以前の1990年代末、ネオ・ニューウェイヴという小ムーヴメントがありました。TiN Starからリリースされた『Tokyo New Wave Of New Wave '98』(1998年)には、スカイフィッシャー、ポリシックス、モトコンポ、スプージーズなどのバンドが参加。初期P-MODELを彷彿とさせるテクノパンク!

SKYFISHER

09. 東馬健: セルロイドの夜
及川光博がプロデュースした自称、平成歌謡界のハレー彗星。映画における彼の節操の無い流行を追い続ける姿勢には、敬意を払わずにはおられない。アルバム『流星』(2002年)に既に収録されている曲であるが、あまりにこの映画にはまりすぎている。それは、1980年がムード歌謡という意味ではなく、彼の姿勢である。なお、ムード歌謡曲が10曲詰まった東馬健ヒット・コレクション『セルロイドの夜』もたったの1,575円で発売中。

◆東馬健の公式ウェヴ

10. 岸野雄一: 1980サントラ3~終業式・操行ゼロ~
自称「スタディスト」、岸野雄一・・・さすが勉強家と言えるエピソード。以前、懐かしのハイパーカードで出来た『京浜購入ガイド1.0』(94年版)という貴重な資料を頂き、こちらのページを作る参考にしました。

11. 星陵高校映画研究会: TOKIO (Making plan for TOKIO version)
これも「ランナウェイ」と同じ編曲・演奏で、沢田研二のテクノ歌謡(サウンド以上にコンセプト的に)をXTC(「Making plan for Nigel」から推定)風にカヴァー。

12. TOKIO (Instrumental)
こっちはインスト。

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