Client:B
Client: Bの正体は、元ダブスター(Dubstar)のサラ・ブラックウッド嬢。ダブスターは、ブラーやシャンプーが所属したイギリスのFOODレコードからデビューしたニュー・キャッスル出身のトリオ。サラをフロントに、スティーヴ・ヒリアー(元ラジオ局DJ)とクリス・ウィルキー(ギター)の男二人がサウンド担当。ダブスターと言う名前から、ダブ系?と思う人もいるかもしれませんが(ダブ・リミックスも多いので、ダブが好きだと思える節もある)、結構悲惨な状況を歌った耽美系エレクトロポップです。90年中期という再評価進まない時期に生まれたエレクトロポップとしては、健闘していたバンドです。デビュー・アルバムの『Disgraceful』(1995年)は、スティーヴン・ヘイグによるプロデュースで、2作目まで彼がからんだ。セイント・エティエンヌと比較されたり(本人たちは嫌がっていたみたい)、ヘイグがプロデュースした事からも、ペット・ショップ・ボーイズやニュー・オーダーの系譜にあると言っていいでしょう。デビュー・シングルでもある「Stars」に代表される礼拝堂から聴こえて来る様なメランコリックな夢想感覚・・・そんな表現が似合うダブスターです。
セールス的には判んないのですが、私的には一番のセカンド・アルバム『Good Bye』(1997年)。イギリス盤は、ソファのジャケだったのですが、日本盤はメンバーというかサラの写真。前作を踏襲しているが、より緻密な構成のロマンチックなドリームポップ・サウンド。超キャッチーなわけでないのですが(セールス的にはもっとキャチーでもよかったと思う)、どこかひっかかりというか毒がある。シングルカットされなかった「Say The Worst Things First」がマイ・ベスト・トラック。
『Make It Better』(2000年)でダブスターは解散。ちょうど今ならエレクトロクラッシュ系ネオ・エレクトロポップにも入りそうなのですが、ダブスターとしてやれる事はやった、そんな感じです。オーパスIII(Opus III)でスキンヘッド・マニアを喜ばせたカースティ・ホークショウが「Mercury」という曲を提供。
ダブスターを語る上で重要な2枚のアルバムがあります。ゲーリ・ニューマンのトリビュート・アルバム『Random』(1997年)で「Everyday I Die」、そしてユーロトラッシュに捧げるオムニバス・アルバム『ラヴ・ラヴ・ヨーロップ』で「夢見るシャンソン人形」を職人的に素晴しいカヴァー(また、スティーヴ・ヒラーはバナナラマの「恋のウォータールー」をプロデュース!)をしています。
既に過去のものとなったダブスターですが、これまでの集大成としてのベスト盤『The Best of Dubstar』(2004年)もリリースされており、Amazon.co.jpで1,161円(2004年10月4日時点)と廉価な事もあり、ダブスターを聞いた事がないエレポップ好きの方にはお勧めします。
さて、次はClient Aが誰か明かしましょう。
◆ダブスター!(日本語)
◆Dustar Web Garden(英語)