――モデル、スタイリングとしての活動もされているようですが、あの石野卓球の『Karaokejack』の女装ジャケの仕掛け人なんでしょうか?
「Rockin'On Japan」の鹿野氏からのオファーで、私がスタイリングを務めました。石野卓球も良く知っていたので、一生に何度あるかわからない彼の生女装の現場に立ち合えたのは喜ばしい事です。その後、2次使用でアルバムのジャケットになったのには驚きました。
――では、アーティスト「Venus Fly Trapp」についてお聞かせください。もう一人のメンバーであるGenie Murasakiさんとの役割分担は?
Venus Fly Trappという名前は私の遊んでいた頃に、アメリカ人のアンディ・ウォーホールの現代版みたいなプロデューサーのRaymonにつけられたニックネームです。現在は全宇宙対応型の名前として使用しております。Genie Murasakiとのユニット活動の時は"android 69"というパーティの名前と併用して展開しております。要するに"android 69"というプロジェクトはイベント、バンド、ファッションと様々に変化する可能性の集合体なのです。
Genieさんは70年代よりアンダーグラウンド・パンクロック・シーンで名が知られ、"村八分"解散後に山口富士夫が結成したバンド"Resort"や"S-Ken"のベーシストとして活躍していたミュージシャンで、その後もP.Aやウェブデザインの世界で華々しいキャリアを持っており、今は余暇を活かして私のアルバムのエンジニアリングやマニュピレート、ウェブデザイン、またライブアクトを一緒に繰り広げております。そして、ミラクルワークスのレーベルオーナーでもあります。
――2002年にはアルバム『grotesque』をリリースされましたが、3曲目の「Love Hole」は、エロチックな感性とエレクトロ(ニカ)なサウンドがとても魅力です。日本人でこういう表現できる人って知りません。PVやライヴの画像を見ながら聴くと、さらに官能的です。やはり、ヴィジュアルな部分もかなり重要視されているのかと思いますが、どうでしょう?
ジャケ写から通販サイトへリンクできます。
ヴィジュアルやコンセプトが決まらないと楽曲制作が出来ない体質なので、重視しております。混沌としたブラックホールみたいな愛の渦に飲みこまれてゆく感覚や、テクノにはないインプロビゼ-ションの要素などをミックスしてゆくのは私の作品の特徴だと思います。また、文章を書くのが好きなので、文学的なポエトリーを紡ぎ、視聴者を退廃的な世界へ引きずりこむのも堪らなく好きです。この蟻地獄的な存在意義は血なのかもしれません。
――勝手な思い込みかもしれませんが、6曲目の「Poison Boy Friend」って、Poison Girl Friend(ちょっとフレンチなテクノ系)に関係あるのでしょうか?
中学生の頃にMomusが好きで、彼がプロデュースしていたアーティストは全て聴いておりました。彼女が歌ったミッシェルポルナレフのカバー「Love Me」は傑作だと思います。その後、音沙汰がない彼女ですが、何年か後に佐藤奈々子さんみたいにフォトグラファーに転身していたりすると面白いですね。
やはり、「Gainsbourg Night」でサエキけんぞうさんと司会を務めた事があるくらい、デカダンなフランスの昔の作品は影響を受けましたね。この曲は、私が甘い有害な秘密事をされた男性、もしくは私が逆の事をした男性を思いだしながら創りました。