――元々、早稲田の多重録音研究会に所属していたんですよね。どんな活動をしていたんですか? jellyfishのトモコさんもいたんですよね。
多重録音芸術研究会は日本最古のテクノ系音楽サークルなんですが、部員もみんなマニアでしたね。そこで私も鍛えられたというか。でもそのころは機材も知識もそんなに無かったからたいしたことはしてなかったんです。トモコさんのことも名前ぐらいしか知らなかった。で、1999年ごろ吉祥寺のクラブでトモコさんのユニットのjellyfish TYOのライブを見る機会があってすごく感動して、それからですかね。トモコさんは今回のアルバムでもボーカルと作詞とボーカルアレンジで参加してもらって感謝してます。
――あれよあれよと言う間に、東京だけでなくロンドンやブライトンでELEKTELはライヴまでして、ウエハラさんの実行力には感心してしまいました。海外でのELEKELの評判はいかがでした?
2001年はちょうど「イギリスにおける日本年」だったから、日本関係の音楽イベントもたくさんあったんですよ。それでELEKTELのサイトを見つけてMP3を聴いたイギリスのレーベルから「来ないか?」というメールをもらって、それですぐ「行きます」と言ったわけ。けっこう思い付きです(苦笑)。ロンドンでやったときはみんな踊ってくれて受けたけど、地方だと孫をつれたお年寄りがいっぱい来るような場所でやったこともあって、あれはさすがにあせったなあ。
amazon.co.jpにあるCDは、ジャケ写からリンクできます。
――今回のアルバム『Space Travel with Teddybear』にも収録されているのは、scure(さらなるELEKTEL情報あり!)というレーベルからリリースされていますが、その経緯は?
以前All About Japan [テクノポップ]のインタビューに出たじゃないですか。それをsucreのレーベルオーナーが読んでたらしいんですよ。だからきっかけはインターネット。All About Japan、ありがとうって感じです。
――収録されている『Denshi Block Of Love』は、『Futuretron Sampler』(ジャケ・デザインはおなじみのケロッグ博士)にも収録の『恋の電子ブロック』ですが、「電子ブロック」とウエハラさんの関係は? 最近学研が復刻した電子ブロックって昭和の「エレキテル」のようですね。
電子ブロックは子供のころ欲しかったけど、買ってもらえなかった。マイキットはあったんですけど。それが悔しくて大人になってから電子ブロックを何台も大人買いしちゃった。それで他に誰もまだ電子ブロックを楽器に使ってるミュージシャンがいないから、ならELEKTELが世界最初になろうと思った。
――今回のアルバムでウエハラさんが一番お奨めの曲は何でしょう?
『Midnight Samba』かな。一番古くて、一番苦労した曲だから、妙な思い入れがある。でもアルバムは全部良い曲だからぜひCD買ってください(笑)。
――『Midnight Samba』は、現Sonicballoon/Soul Boosa、元Urban Danceの松本浩一さんのリミックス曲も収録されていますね。どのようにこれは実現したのでしょうか?
polymoogさんがサエキけんぞうさんの音楽仕事をしてるときに、アルバムリリースの話をしたらリミックスを収録したほうがいいと薦められて。ちょうど雑誌「FLOOR」でサエキさんと対談してつながりのあった松本浩一さんをリミキサーとして紹介してもらったわけ。それで最初はSoul Bossa Trioの松本さんとして教えてもらったんですよ。
でもあの元Urban Danceの松本さんだと気づいて、polymoogさんも私もびっくりした。日本のテクノユニットの先駆けUrban Danceの人とこんな形で合えるとは思わなかったから、人間長い間生きてるといろんなこともあるものだなと。後から知ったんだけどその雑誌「FLOOR」の編集者は「ナゴムの話」の著者の平田順子さんだったというのもまた不思議な話。