――でも前述しましたように、Secret Secretには何かオリジナルなものを生み出していますね。どんなアーティストの影響を受けたのでしょうか?アルバム『The Living Secrets』からの『Metal』という曲からはゲーリー・ニューマンが感じられます。
音楽の勉強もしました。音楽の学位も持っています。ソプラノ・サックスやマンドリンも演奏できます。多様な音楽をたくさん聴いています。全ては僕が曲を作る際の選択に影響を与えます。デペッシュと同じくゲーリー・ニューマンにも大きく影響されています。注意深く聴いてみると、デペッシュの影響が聴けますよ。でも、デペッシュのCDの中にある音楽的パレットに縛られていないのでプリンスやベニー・グッドマンの曲も探っていけます。ブルーグラスのコード変更やを入れてみたければ、それも出来ます。そのようなちっちゃな事が貴方が聴く音楽に距離感を与えてくれるわけです。
――貴方が活動基盤としているサンフランシスコにもダークウェイヴ・シーンはあるのですか?
はい。サンフランシスコにはとても特化したゴス・シーンがあります。毎週の夜に少なくとも一つのゴス系グラブ・イヴェントがあります。全てのクラブがライヴ・バンドでやるわけではありませんが、ローカルのゴスやダークウェイヴ系をプレイします。DJ達はとても協力的です。ローカルのゴス系バンドやDJのためのメーリング・リストもあります。僕達はお互いに連絡しあい助け合っています。とても協力的関係です。
――現在、アメリカにおいてダークウェイヴやシンセポップはどのように受け止められているのでしょうか?アメリカのポップ・ミュージック・シーンにどのようにフィットしていますか?
両方ともインディー・ミュージックです。以前そうであったように、チャートに入る可能性はあります。ゴスやシンセポップのためのカレッジやダンス・チャートでは強い存在感を保っています。ブリットニーやクリスチーナの大ヒットはヴォーカルを取ってしまえばシンセポップにとても近いです。だから、世界はまだ開かれていると思います。ダークウェイヴやシンセポップをチャートから遠ざけている一番大きな理由は、ソング・ライティング力にあります。このジャンルにおいて世界が注目してくれるだけの素晴らしい曲が書かれていません。でも、基盤はあるし、いつ実現してもおかしくありません。
――自分自身のレーベル「電気虎」を運営していますね。日本ではレーベルを財政的にうまく運営していく事は簡単ではありません。どうのように運営しているのでしょうか?
こちらでも簡単じゃないですね。でも、電気はとても小さなレーベルで保守的に運営されています。日本でも僕の友達は同じ手法でやっています。何に対して投資するかの選択にとても配慮が必要なだけです。ミュート・レコードは同じように始まりましたが、彼らは現在、シンセポップの最大のレーベルの一つです。ヴィンス・クラークが事を始めるに当たって最初に彼等に一束の佳曲を書いた事は助けだったでしょうが、小さく始められて、運営者によって気遣いがなされていた事が重要だったと。僕の大英雄の一人はダニエル・ミラーです。ミュートの創始者。この一人の男とシンセポップへの愛情のお陰で、たくさんのクールな音楽が聴く事が出来たのは幸運です。とても感謝しています。
(ご協力ありがとうございました。)
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