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アーティスト・インタヴュー~Part I 直撃!LIZARD・モモヨさん #2(2ページ目)

アーティストの本音が聞けるe-mailでのインタヴューで構成したClose Up!特別企画! 前回に続きテクノ・パンク・バンドLIZARDのリーダー、モモヨで知られる菅原保雄さんに(知的パンクスとして認知されたストラングラーズの)ジャン・ジャック・バーネルや(当時NMEライターとしてLIZARDにインタヴューした)ZTTのポール・モーリーについて語っていただきました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

私達の英国でのギグは、日本人の仕込みではなかったので、英国人にとって初めてレアな日本のロックに触れる機会となりました。したがって、ポールのみならず、モットザフープル、ガールスクール、モーターヘッド、ダムドなど、当時、ロンドンに滞在していた音楽関係者は、ギグの最終日、ミュージックマシーンにこぞって来てくれたようです。

ロンドンでは日本で考えるほど、メタルとかパンク、テクノ、ニューウェイヴとかロッカーの断絶はありません。ストラングラーズにゲストでロバートフリップが加わったことなどを考えれば理解できると思いますが、すべてはロックなのです。

脱線をしましたが、ポールの音楽的素養は大変なものがあると、私には思えました。たとえば私の作曲は、レイ・デイビスに大きな影響を受けています。このことを正しく指摘したのは彼だけです。ベースラインは、キンクスとイエスからの影響が顕著なのですがこれも彼には自明のことだったようですし、日本のマスコミなどのように、ストラングラーズとの人間的つながりを音楽的なつながりと混同することもなかった。

確かに、ポールが理解していたように、80年くらいまで、日本人のアーティストは猿マネを恥と思わないところがあったわけです。そして、優れた猿マネバンドこそが優れたオリジナルバンドになる、評論家はそう考えていました。

しかし、残念ながら、私自身はコピーができるほど器用ではなかった。ストラングラーズに似た作品はあきらかに彼らに献じられたものだった。確かにトータルにみても、初期イエスの音色に影響を受けたベースプレーはストラングラーズを連想させるものです。が、音色は音楽そのものではない。アレンジの一要素に過ぎません。ポールは、これを正しく理解して私達のオリジナリティを評価してくれた。

そして、キーボードのどこそこがマガジンとかウルトラボックスだとかを想起させるとか、ギターのカッティングは絶頂時のジョン・マクガフを想起させたとか正しい評価を下してくれました。そればかりか、私のアバンギャルドやボードレールの話など、かなり踏み込んだ会話にも理解をしめし、私達や日本のパンク・ニューウェイヴをバックアップするような記事をNMEに書いてくれました。

ストラングラーズはパンクバンドではありますが、それ以前にポップバンドとして十分に評価されていました。そもそも英国やヨーロッパのチャート(普通の音楽チャートです)では第一位を何度も記録しています。オリコンチャートの一位を連発するような存在をイメージすれば分かりやすいでしょう。ひどくポピュラーな存在だった。これが日本のファンには理解できないところのようです。

先のマイナーとメジャーの問題にも関連しますが、日本のパンクスにはマイナー賛美が根強く残っているようです。歌詞の効用についての正しいスタンス、音楽と生涯的に関わること、大人になっても聴くにたえる音楽、こうしたキーワードとともにパンク運動を展開していた。ポールはその正しい理解者でもあった。J.J.も信頼するに足るただ一人のライターとして、ポールを遇しておりました。ポールは「あるべきこと」を正しく「あるべきように」把握していた。確かな感性の持ち主でした。
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