YMO、Moonriders等のテクノポップ系ミュージシャンが歌謡曲畑の歌手(代表例:イモ欽トリオ『ハイスクール・ララバイ』)で遊んでみたり、筒美京平=船山基紀のような歌謡曲系作曲・編曲家がテクノ的アレンジを歌謡曲(代表例:榊原郁恵『ロボット』)に導入したり、テクノポップ系ミュージシャンが歌謡的アプローチ(代表例:Juicy Fruitsの『ジェニーはご機嫌ななめ』)をとったもの等がテクノ歌謡でしょう。

しかしながら、これらは氷山の一角にすぎません。テクノ歌謡は業界ニューウェイヴよりも地位の低い80年代のあだ花的存在として、一部のマニアの支持を受けながらも封印されていました。

1999年になって、和製RHINO(『NEW WAVE』のオムニバス・シリーズ等リリース)とも言えるレア音源を再発する良心的レーベルであるP-VINEより、『テクノ歌謡』のタイトルで計8枚のレーベルごとのオムニバスがリリースされています。この企画は矢倉邦晃、安田謙一の監修、3人組の8-bitsによる選曲で構成されています。

矢倉邦晃は濱田マリ(ハードロックの女王、浜田麻里と混同しないよう)がいたモダン・チョキ・チョキズのリーダー。戸田誠司(元Shi-Shonen/Fairchild)・編曲の『天体観測』という名テクノ歌謡があります。ちなみに、この曲を作曲したメンバーの長谷部信子(元Pom Pom Dahlia)は大の戸田誠司ファンらしい。彼女は2000年にハセベノヴコ名義で『パンダマン』という、これまたテクノなミニアルバムをリリースしています。

話は戻り、P-VINEは2000年に続編として『テクノ歌謡DX』のタイトルでテクノポップ(Films、Shi-Shonen、Urban Dance等)~テクノ歌謡(安田成美、クリス等)系アルバムを再発。同じP-VINEから『おしえてアイドル』のタイトルで現在リリースが続いているオム二バスでも、一部ですが未CD化のテクノ歌謡と呼べるアイドル歌謡(例えば、小西康陽が作詞・作曲した松本伊代の『交通渋滞』)が収録されています。

また、POLYSTAR(『NEO MODERN POP COLLECTION』としてEX、Shi-Shonen、WorldStandard等)とテイチク(藤真利子)等のレーベルも、この分野での良心的再発をしています。

残念ながら、テクノ歌謡の音源の宝庫である CBS SONY、日本コロムビア、For Lifeからの『テクノ歌謡』オムニバスとしてのリリースは未だされていないので、ぜひ実現化して欲しいものです。レコード会社の皆様、ありふれたヒット曲オムニバスばかり出さないで、あまり儲けにならなくても文化活動の一環としてこのような再発にぜひ協力してください。『おしえてアイドル』で企画されている『リクエストBOX SET』と同様に、テクノ歌謡BOX SETが出て欲しい!

テクノ歌謡に関する情報に関しては、WEB上ではテクノ歌謡ファン・ホームページPOP ACADEMY、書籍としては『テクノ歌謡マニアクス』(コイデヒロカズ編、8-bitsやウエハラケンイチ等執筆)を見ていただくことをお勧めします。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。