(20)[ M.C.HAMMER ]
MCハマー……もちろん香取真吾くんの‘MCカマー’では無く、その元祖オリジナル、本物の方…ですよ。
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ラップ及びヒップホップを広く世の中に知らしめた90's音楽偉人伝(?)に燦然と輝くアーティストの一人がこのハマーさんなのであります。
ご存知の方はともかく、ご存知の無い方に当時の彼の人気振りを紹介いたしますると…
〇デビュー・アルバム『 LET'S GET IT STARTED 』(88年)が、いきなり全米ブラック・チャートNO.1を獲得。ブラック・シーンで話題騒然に。
〇セカンド・アルバム『 PLEASE HAMMER DON'T HURT'EM 』(90年)発売。ポップ・チャート21週連続NO.1を獲得。全米ミュージック・シーンを大激震させた。
またそうした?ハマー現象?は全米だけに留まらず、ヨーロッパ、アジアにも飛び火し、結局アルバムのトータル・セールスは全世界で1,000万枚以上に。
アルバムの中からはブラック・チャート1位“U Can't Touch This”“Have You Seen Her”、ポップ・チャート1位を獲得した“Play”というシングル・ヒットも。
〇サード・アルバム『 TOO LEGIT TO QUIT 』(91年)、ポップ・チャート2位、ブラック・チャート6位。
そして日本では、
〇ハマー・ブームが最大に盛り上がる最中の91年、ヒップホップ・アーティスト初の東京ドーム2日間のライヴを慣行。両日とも全てソールド・アウト。
どうですか?彼のスーパー・スター振りは?
<ダンサー=M.C.ハマー>
数々の記録を打ち立てたハマーさん。何故彼はトップ・スターの座を獲得出来たのでしょうか?
実のところそれはハマーさんの?ダンサーとしての技量?がモノを言ったからなのであります。
「ヒップホップとは ‘ラッパー’‘ダンサー’‘DJ’‘グラフィティー・アーティスト’という四つの構成要素が明確化されており、その各要素に属するそれぞれの才能を有するアーティスト達はその各テリトリーに分かれて技を競い合ったり切磋琢磨するもの」(チャックD談)
ヒップホップにはこうしたアンダーグラウンド・シーンから脈々と受け継がれたセオリーが存在する訳ですが、このハマーさんはそうしたセオリーを真っ向から突き崩しラップを口ずさみながら堪能なダンスも披露してしまったのです。
それも並みのダンス技術ではなく『マイケル・ジャクソンを打ち負かせるのは彼しかいない!』とメディアに言わしめるほど卓越した才能を披露したのです。
そのカッコよさはまさにマイケル!ばりで、キッズやB-BOYだけでなく、アーティストすら彼のステップを真似していたほど。
蛇足ですがここ日本では、とんねるずが『みなさんのおかげです』でパロディー、それ以前のノリさん演ずる‘マイケル・ジャクソン’‘ジャネット・ジャクソン’、タカさん演ずる‘ライオネル・リチ男’‘プリンス(というかホモマン?)’に次ぐ名物キャラと君臨し世の中高生の間で大ブレイクしたものです。
(来日の際にその合間を縫って本人が番組出演したのも話題になりましたね。放映翌日の学校ではその話題で持ちきりでした。これを読んでいる方の中にも「あ~、そういえばそんな事もあったな」と頷いているのでは?)
世界中の人々を魅了したパワー溢れる≪ハマー・ステップ≫、それが彼を一躍スターダムに押し上げた最大の要因であり、?ラッパーでありながらダンサーでもある?という新しいロール・モデルを確立した、それこそがハマーさんの快挙であったのです。
そしてストリートに根付いていたヒップホップをメインストリームに認めさせラップをエンターテイメントに昇華させたのも彼の功績、と言っても差し支えないでしょう。
(次ページに続く)