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A Personal Artists Guide "The Roots of B !" マイケル・ジャクソン

“キング・オブ・ポップ”誰もが成し得ない偉業を達成させた音楽史上最高のエンターテイナーの魅力をご紹介。第2回 [マイケル・ジャクソン]

執筆者:田中 徹夫



(2)[ MICHAEL JACKSON ]


それは小学校を無事卒業し(といっても卒業式の日に大怪我をしたので?無事?ではないのですが、その話は今回の記事とは関係ないので割愛)、中学校に入学して直ぐの頃の話。


小学校から中学校に変わると登校学区も広がり、新しい出会いや、学区の違いで別の小学校に行っていた友人とまた3年間を過ごす事にもなります。
もちろん、僕も例外なく幼稚園で仲の良かった友人とまた席を共にする事となりました。

入学から2、3カ月が過ぎ、そろそろ中学校生活にも慣れて来たある日、その友人からある質問を受けました。

「マイケル・ジャクソンの“ビリー・ジーン”“ビート・イット”のどちらが好き?」
……????????……。

当時、自分と言えば『ザ・ベストテン』フリーク。音楽の興味の中心は歌謡曲。洋楽には全く興味を抱いていなかった僕は、何の事やら全く理解出来ず、何の答えも返せないまま、結局彼には馬鹿にされるはめに...。



そう、その年1980年は、80年代に日本国内に洋楽旋風を巻き起こすそのきっかけともなった、かの歴史的ミュージック・チャンネル『ベストヒットUSA』が始まり注目を集めだした年だったのです。

僕に質問を投げかけたその友人も、この番組を見ての話がしたかったのでした。 

レコードジャケットが地球を駆け巡るオープニング、全米音楽シーンの最新情報、各アーティストのプロモーションビデオを放映しながらの全米ヒットチャート紹介、そしてまた小林勝也の小気味よい英語とテンポ良いMC。

TOTO、ホール&オーツ、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース、ビリー・ジョエル、そしてマイケル・ジャクソン。

アメリカが生み出した世界最先端の音楽、大陸的な感覚が醸すオープン・マインドな世界、開放的気分を高めるシー・ウィンドをも感じさせるライトな曲の数々。
全てが新しく、全てが新鮮で、全てが興奮を呼び起こす、こんな洋楽の魅力を肌に感じた者は決して僕だけではなく、この新たなる刺激は日本国中に広がっていったのであります。
(同年代の方はこの話を思い出してきっと今、笑みを浮かべている事でしょう。)


ここから、僕の洋楽人生、いや音楽人生が始まった、のでした。

~~~

さて、肝心のマイケル。

彼が日本国中いや世界中にその名を轟かす、トップ・アーティストとして君臨する事になったきっかけは、こうしたPVクリップをメインとしたTV番組とのコラボーレートを戦略的に利用した先駆者であったという事が大きい。

前述の“ビリー・ジーン”“ビート・イット”はまさにそうした戦略の一端。

それまで大抵のPVというのは、演奏シーンそのままのドキュメンタリー的映像であったり、演奏はしてなくても音楽に合わせてただ立って(時にはちょっとした動きを付けて)歌っている、そんなのが主流。

しかしマイケルの一連のPVはそれらとは大きく逸脱したものだった。
きちんとしたストーリがあり、セットもきちんと組み立てられ、ダンサーが多数出演し、振り付けも完璧に演出されていた。その光景はさながらミュージカル映画。

きっと彼は、単なる音楽宣伝用の映像ではなく、映像そのものを作品として残す事を目論んでいたのでしょう。
(当時のインタビュー記事などにも彼の映画に傾倒する様は幾度となく掲載され、その当時のヒット映画スピルバーグの『E・T』に強く共鳴したしたという彼の言葉も残されているように、映像作品にかなりの興味を持っていたようだ)




(次ページに続く)


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