世界一のファンク/ソウルバンドと言われているタワー・オブ・パワー。なんと結成40年を迎えてまだまだ現役第一線で活躍しているのだからすごい。今年はスタジオアルバムも発売され、来日も予定されている。
40年変わらぬ切れ味とパワーの“リズム&ブラス”
タワー・オブ・パワーは、サンフランシスコ出身のファンクバンド。デビューは1970年、結成以来もう40年も活動し続けている大御所中の大御所バンドだ。地元アメリカでも人気は高いが、ここ日本でも古くから絶大な人気を誇っている。
長い活動期間を持つタワー・オブ・パワーだけに、様々なエピソードがあるが、もっとも有名なのはヒューイ・ルイス&ザ・ニュースとのかかわりに関する話題だろう。80年代にはメジャーとの契約がなかなかうまくいかなかったタワーだが、タワーのサウンドにあこがれてミュージシャンになったヒューイ・ルイスが、タワーの売りであるホーンセクションをツアーやアルバムで起用し、そこから人気が復活して再び契約にこぎつけ、メインストリームへ還ってきたのだ。ちなみに全盛期のヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの来日公演にもタワーのホーンセクションが同行したことがあって、そのときはタワーの大ヒットナンバーも演奏してくれたそうだ。
タワー・オブ・パワーのサウンドは一貫して変わらない魅力を持っている。そのキーになっているのは、“リズム&ブルース”という言葉をもじって、自ら“リズム&ブラス”と言っているように、ホーンセクションとリズムセクションだ。
タワー聴くなら外せない名盤がこれ『バック・トゥ・オークランド』 |
リズムに関しては、全員がリズムプレイヤーと言えるほどグルーヴィでノリノリなのだが、やはりドラムとベースがスゴい。ドラムのデヴィッド・ガリバルディの、教則そのままのような細かいテクニックを駆使して音符をちりばめたグルーヴはユニーク。ドラムだけを取り出して聴いても音楽として成立するくらい完成度が高い。そしてさらに目立つのがロッコ・プレスティアのベースだ。プクプクという感じの細切れの16分音符もユニークだが、とにかくフレーズが力強くてカッコいい。タワーの強靭なグルーヴを支えているのは間違いなくこのベースだ。80年前後には脱退した時期もあったが、やはりそのときの作品は内容も今ひとつだし売れ行きも芳しくない。ロッコのベースがなくてはタワーは成立しないと言ってもいいだろう。
結成40年ともなると、そろそろ枯れた味わいに変化してもおかしくないのだが、タワー・オブ・パワーに関してはそんなことはまったくないらしい。毎年のように来日してパワフルなステージを見せてくれているし、今年は久々のスタジオアルバムも発売された。