ゴリ押しHRの大御所モーターヘッドの新作(2ページ目)

変わらぬサウンドはもはや老舗の定番

2007年のサマーソニックでも、まったく変わらない極悪さとパワーを見せつけたモーターヘッドだが、今回発売されたばかりの『モータライザー』を聴いてもやっぱりそのスタイルは変わっていない。考えてみればレミーはもう60歳を越えている。それに、ひとつのバンドを長い間やっていれば、枯れた味わいが出てきたり、角がとれて丸くなったりしてもよさそうなもの。

初期の名曲ぞろいのライヴ盤『No Sleep 'Til Hammersmith』

しかしこのアルバムを聴いてみれば、彼らに関してはまったくそうなっていないことがよくわかる。冒頭の「Runaround Man」からスピード、パワー全開で迫ってくるし、荒々しくパンキッシュな高速ビートの「Rock Out」などはまさにモーターヘッドらしいナンバー。「Heroes」のようなミディアムテンポのへヴィな曲や、「The Thousand Names of God」のイントロのスライドギター、コーラスを使った「Time Is Right」などのちょっとした変化球もある。

へヴィメタル寄りと言われていた前作より、いくぶん骨太なロックンロール、ハードロックといった色が濃いようだが、基本は一貫していつものモーターヘッドの極悪サウンド。安心して聴ける老舗の定番のようなものだ。だから、こういうサウンドが嫌いな人に、“今度は聴いてみれば？”とは薦められないけれど、好きな人にはたまらないハズ。スピーカーの前でノリノリでヘッドバンギングしたいなら、ぜひこれを聴いてほしい。