アナログLPに近い感覚が紙ジャケのよさ
音楽を聴くためのソースが、アナログからデジタルに代わってから20年以上が経過する。以前は主流だったカセットテープやアナログレコードがCDやMDになり、今やインターネットで購入できるデジタルデータも主流になりつつある。デジタルになって音質は飛躍的に向上したし、扱いやすくなった。しかし失われたものもある。その中でもっとも大きいのは、LPのジャケットだろう。LPの時代は、アルバムジャケットのデザイン、つまりカバーアートまで含めてひとつの作品と考えるアーティストが多かったようで、カバーアートを見るだけで想像力をかきたてられるものもあった。
もちろんLPの30cmというサイズは今考えれば大きくて持ち運びにくいし、傷が付きやすいアナログディスクの扱いは慎重を要した。しかしそんな不便さも含めて、レコードの楽しさだと考える人も多かったはずだ。大好きなアーティストの新譜をレコード店に買いに行って大切に持ち帰り、袋からそっと出してターンテーブルに乗せ、慎重に針を下ろす。そうやってレコードをこわれもののように大事に扱うことで、そのアーティストや音楽そのものに対する愛情がより深まる、そんな面もあったはずだ。
最近、そういったアナログ時代のよさが見直されてきているようで、以前の名盤が、いわゆる紙ジャケ仕様で復刻されることが多くなってきた。もちろん中身はCDなのでサイズは小さい。だからアナログ時代そのままというわけにはいかないが、紙ジャケならではの質感がある。ディスクが半透明の内袋に入れられていたりして、大切に扱いたくなるところなどは、アナログ時代の感覚に近いものがある。
次のページでは、最近紙ジャケで再発されたものの中から、まずはメジャーどころを紹介しよう。