誰もが影響を受けたボ・ディドリー
“ボ・ディドリー・ビート”の影響を受けたとされるミュージシャンはとても多い。挙げていったらきりがないが、有名なところでいえば、ローリング・ストーンズ、エリック・クラプトン、レッド・ツェッペリン、ブルース・スプリングスティーン、エアロスミスなど。ボ・ディドリーの曲をカヴァーしているミュージシャンも、もちろん数えきれないくらいいる。誰もが影響を受けたといっても過言ではないくらいだ。
ちょっと変わったところでは、影響を受けたミュージシャンとして、ドラマーの故ジェフ・ポーカロもボ・ディドリーの名前を挙げている。ドラム教則ビデオの中で、TOTOの名曲「ロザーナ」のドラムパターンは、レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムの雰囲気に、“ボ・ディドリー・ビート”を組み合わせて作ったと明言しているのだ。ちょっと意外な気がするかもしれないが、これはドラマーの間ではけっこう有名な話だ。
そんなボ・ディドリーだが、積極的に活動し、ヒットも連発していたのは60年代中盤まで。その後は大きなヒットにも恵まれていないが、地道な活動は続けられた。そしてさすがは偉大なカリスマ。他のミュージシャンのアルバムやライヴにゲストとして招かれることも多く、シーンから忘れ去られるようなことはなかった。
貴重な『ブルース・ブラザース 2000』での1シーン
70年代以降のボ・ディドリーは、意外なところにも顔を出している。中でも有名なのが、映画の『ブルース・ブラザース』シリーズへの出演だろう。『ブルース・ブラザース』といえば、ジョン・ベルーシとダン・エイクロイドの暴れまわる姿が破天荒に明るく、そしてロックやブルースの著名人が数多く出演して演奏シーンも見せてくれる、とにかく楽しい映画だ。
豪華メンバーとともにボ・ディドリーが出演した『ブルース・ブラザース 2000』 |
このシーンでボ・ディドリーはトレードマークの四角いギターを抱えて真っ赤なスーツで登場。B.B.キング、エリック・クラプトンとともにセンターに立ち、渋いギターと味わい深いヴォーカルを聴かせてくれる。さすがのクラプトンも、ちょっと遠慮がちに少し下がった位置で地味にギターを弾いているのが印象的なシーンだ。これも今となっては、ボ・ディドリーの演奏を記録した貴重な映像といえるだろう。
1987年にロックの殿堂入りを果たし、その後何度か来日公演も成功させていたボ・ディドリーだが、昨年5月に脳卒中で倒れた。一度は退院してリハビリに励んでいたそうだが、今年6月2日に亡くなった。
ボ・ディドリーの生のライヴを見ることはもうできなくなってしまったが、彼の残した功績は、彼自身の作品、そしてたくさんの他のミュージシャンの作品の中にも残っている。ボ・ディドリーの作品を聴いて、ロックンロールやブルースのルーツを改めて探ってみるのも面白いだろう。
【関連リンク】
ボ・ディドリー公式サイト(英語)