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ボ・ディドリーの残した偉大な財産(2ページ目)

ロックンロール、ブルースの生みの親として多大な影響を与えてきたカリスマ、ボ・ディドリーが今年6月に79歳で亡くなった。彼は意外なところに顔を出し、意外なところにも影響を与えていた。

執筆者:田澤 仁


誰もが影響を受けたボ・ディドリー


“ボ・ディドリー・ビート”の影響を受けたとされるミュージシャンはとても多い。挙げていったらきりがないが、有名なところでいえば、ローリング・ストーンズ、エリック・クラプトン、レッド・ツェッペリン、ブルース・スプリングスティーン、エアロスミスなど。ボ・ディドリーの曲をカヴァーしているミュージシャンも、もちろん数えきれないくらいいる。誰もが影響を受けたといっても過言ではないくらいだ。

ちょっと変わったところでは、影響を受けたミュージシャンとして、ドラマーの故ジェフ・ポーカロもボ・ディドリーの名前を挙げている。ドラム教則ビデオの中で、TOTOの名曲「ロザーナ」のドラムパターンは、レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムの雰囲気に、“ボ・ディドリー・ビート”を組み合わせて作ったと明言しているのだ。ちょっと意外な気がするかもしれないが、これはドラマーの間ではけっこう有名な話だ。

そんなボ・ディドリーだが、積極的に活動し、ヒットも連発していたのは60年代中盤まで。その後は大きなヒットにも恵まれていないが、地道な活動は続けられた。そしてさすがは偉大なカリスマ。他のミュージシャンのアルバムやライヴにゲストとして招かれることも多く、シーンから忘れ去られるようなことはなかった。

貴重な『ブルース・ブラザース 2000』での1シーン


70年代以降のボ・ディドリーは、意外なところにも顔を出している。中でも有名なのが、映画の『ブルース・ブラザース』シリーズへの出演だろう。『ブルース・ブラザース』といえば、ジョン・ベルーシとダン・エイクロイドの暴れまわる姿が破天荒に明るく、そしてロックやブルースの著名人が数多く出演して演奏シーンも見せてくれる、とにかく楽しい映画だ。

ブルース・ブラザース 2000
豪華メンバーとともにボ・ディドリーが出演した『ブルース・ブラザース 2000』
ボ・ディドリーが出ているのはシリーズ2作目となる『ブルース・ブラザース 2000』のほうで、後半のクライマックスのバンドバトルに、ブルース・ブラザース・バンドと対決するバンド“ルイジアナ・ゲイター・ボーイズ”のメンバーとして登場する。このバンドのメンバーがとにかくすごいのだ。キング・オブ・ブルースことB.B.キングを筆頭に、ビートルズやストーンズのサポートで有名なビリー・プレストン、スティーヴ・ウィンウッド、ジャズドラマーのジャック・デ・ジョネット、ジミー・ヴォーン、スティーリー・ダンやドゥービー・ブラザースで活躍したジェフ・バクスター、そしてエリック・クラプトンなどなど。

このシーンでボ・ディドリーはトレードマークの四角いギターを抱えて真っ赤なスーツで登場。B.B.キング、エリック・クラプトンとともにセンターに立ち、渋いギターと味わい深いヴォーカルを聴かせてくれる。さすがのクラプトンも、ちょっと遠慮がちに少し下がった位置で地味にギターを弾いているのが印象的なシーンだ。これも今となっては、ボ・ディドリーの演奏を記録した貴重な映像といえるだろう。

1987年にロックの殿堂入りを果たし、その後何度か来日公演も成功させていたボ・ディドリーだが、昨年5月に脳卒中で倒れた。一度は退院してリハビリに励んでいたそうだが、今年6月2日に亡くなった。

ボ・ディドリーの生のライヴを見ることはもうできなくなってしまったが、彼の残した功績は、彼自身の作品、そしてたくさんの他のミュージシャンの作品の中にも残っている。ボ・ディドリーの作品を聴いて、ロックンロールやブルースのルーツを改めて探ってみるのも面白いだろう。



【関連リンク】
ボ・ディドリー公式サイト(英語)
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