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『スリラー』の25周年記念盤(2ページ目)

マイケル・ジャクソンのモンスターアルバム『スリラー』の25周年記念盤が登場。豪華なジャケットに包まれたその中身は?

執筆者:田澤 仁


売れて当然の素晴らしい内容


スリラー
数々の記録を打ち立てたオリジナルの『スリラー』
子供時代にはすでにジャクソン5でアイドルとして活躍していたマイケルだが、それ以来ずっとトップスターでいたわけではなかったのだ。マイケルは1971年にジャクソン・ファミリーを離れてソロデビュー、翌年には「ベンのテーマ」が全米5位を獲得するヒットとなったが、その後リリースしたアルバムはいずれも100位程度とふるわなかった。その才能が開花したのは、R&Bの名門レーベルであるモータウンから離れて制作した『オフ・ザ・ウォール』からだ。プロデューサーにクインシー・ジョーンズを迎え、その人脈でデヴィッド・フォスターやラリー・カールトンといった当時のトップクラスのスタジオミュージシャンが参加したことも大きいだろう。ソウルを基調としながら洗練されたポップソングが満載でとてもカッコいい。『スリラー』以降のマイケル・ジャクソンの世界の基盤はここで出来上がったといってもいいだろう。

『スリラー』は『オフ・ザ・ウォール』の世界の延長線上にあり、さらに完成度を高めたアルバムと言える。スピーディなノリノリのグルーヴはマイケルの本領発揮といった雰囲気の1曲目の「スタート・サムシング」などは、イントロのベースラインを聴くだけでわくわくしてくる。3曲目のポール・マッカートニーとのデュエットは、メロディラインにしっかりそれぞれの個性が浮かび上がっている。続く「スリラー」は強烈なビデオで大ヒットしたナンバーだし、「今夜はビート・イット」はハードロック界のギターヒーロー、エディ・ヴァン・ヘイレンが特徴あるソロを披露したナンバー(ちなみにリズムギターはTOTOのスティーヴ・ルカサー)で、この曲をネタにしたパロディソングもヒットした。そしてなんといってもハイライトは「ビリー・ジーン」だろう。足元から湧き上がってくるような無気味なベースラインはこの上なくグルーヴィだし、神経質そうなマイケルのヴォーカルのノリがすごくマッチしている。とにかくマイケル・ジャクソンの世界を代表するナンバーばかりが詰まっているアルバムなのだ。

数多くの記録を持つモンスターアルバム


このアルバムは、1984年のグラミー賞では12部門でノミネートされ8部門を受賞するなど、この時代を代表するアルバムと言えるのだが、それだけではなく、数々の記録も樹立している。まず、売上枚数がすごい。アメリカでの売上枚数の記録こそ、後にイーグルスのベスト盤に抜かれるが、全世界の売上枚数記録は累計で1億枚以上、これは現在もギネスブックにも記録されている。ビルボードのアルバムチャートでは37週も1位を維持し、シングルカットはなんと7曲。そのすべてがトップ10に食い込んでいる。『スリラー』を改めて聴いてみると、やはり文句なくカッコいい。これだけ売れるのも納得できる。

その後の『BAD』や『Danerous』、その他ベスト盤も含めほとんどが全米や全英で1位を獲得している。そんなところを見ても、マイケル・ジャクソンが偉大なミュージシャンであることは間違いない。それにダンスだって超一流。「ビリー・ジーン」のビデオでも見せたあの鋭いステップ、キレのある動きは彼ならではのもの。最近は奇行ぶりばかりが話題になるが、このアルバムは、そしてアーティスト、マイケルの素晴らしさはそんなことでは決して色あせないはずだ。


【関連リンク】
ソニーミュージックの『スリラー』25周年記念盤の情報ページ
SONY BMGのマイケル・ジャクソン公式サイト(英語)
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