売れて当然の素晴らしい内容
数々の記録を打ち立てたオリジナルの『スリラー』 |
『スリラー』は『オフ・ザ・ウォール』の世界の延長線上にあり、さらに完成度を高めたアルバムと言える。スピーディなノリノリのグルーヴはマイケルの本領発揮といった雰囲気の1曲目の「スタート・サムシング」などは、イントロのベースラインを聴くだけでわくわくしてくる。3曲目のポール・マッカートニーとのデュエットは、メロディラインにしっかりそれぞれの個性が浮かび上がっている。続く「スリラー」は強烈なビデオで大ヒットしたナンバーだし、「今夜はビート・イット」はハードロック界のギターヒーロー、エディ・ヴァン・ヘイレンが特徴あるソロを披露したナンバー(ちなみにリズムギターはTOTOのスティーヴ・ルカサー)で、この曲をネタにしたパロディソングもヒットした。そしてなんといってもハイライトは「ビリー・ジーン」だろう。足元から湧き上がってくるような無気味なベースラインはこの上なくグルーヴィだし、神経質そうなマイケルのヴォーカルのノリがすごくマッチしている。とにかくマイケル・ジャクソンの世界を代表するナンバーばかりが詰まっているアルバムなのだ。
数多くの記録を持つモンスターアルバム
このアルバムは、1984年のグラミー賞では12部門でノミネートされ8部門を受賞するなど、この時代を代表するアルバムと言えるのだが、それだけではなく、数々の記録も樹立している。まず、売上枚数がすごい。アメリカでの売上枚数の記録こそ、後にイーグルスのベスト盤に抜かれるが、全世界の売上枚数記録は累計で1億枚以上、これは現在もギネスブックにも記録されている。ビルボードのアルバムチャートでは37週も1位を維持し、シングルカットはなんと7曲。そのすべてがトップ10に食い込んでいる。『スリラー』を改めて聴いてみると、やはり文句なくカッコいい。これだけ売れるのも納得できる。
その後の『BAD』や『Danerous』、その他ベスト盤も含めほとんどが全米や全英で1位を獲得している。そんなところを見ても、マイケル・ジャクソンが偉大なミュージシャンであることは間違いない。それにダンスだって超一流。「ビリー・ジーン」のビデオでも見せたあの鋭いステップ、キレのある動きは彼ならではのもの。最近は奇行ぶりばかりが話題になるが、このアルバムは、そしてアーティスト、マイケルの素晴らしさはそんなことでは決して色あせないはずだ。
【関連リンク】
ソニーミュージックの『スリラー』25周年記念盤の情報ページ
SONY BMGのマイケル・ジャクソン公式サイト(英語)