LAメタルブームの80年代
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ルックスもサウンドも人気のあったモトリー・クルー。そのスタイルが確立されたのが『シアター・オブ・ペイン』 |
80年代には、アメリカ西海岸を中心にLAメタルと呼ばれるムーブメントが起こり、ハードロック/ヘヴィメタルシーンが盛り上がりを見せた。ちょうどMTVが流行りだした頃で、ルックス重視のロッカーが数多く登場してきたが、その中でもシーンを牽引したバンドのひとつがモトリー・クルーだ。その3枚目にあたる85年の『シアター・オブ・ペイン』は、シンプルで重いビートに突き抜けた明るさが加わり、彼らならではのバッドボーイズロックの基盤が完成したといえるアルバムだ。トップアーティストへの階段を駆け上がろうとしているモトリー・クルーのサウンドがよくわかるだろう。
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超ハイテクギタリストのジェイク・E・リーのギターを前面に出してヒットしたオジー・オズボーンの『月に吠える』 |
LAメタルブームの中でもトップランナーとして走り続けていたのが、ブラック・サバスの初代ヴォーカリスト、オジー・オズボーンだ。ランディ・ローズを初め、無名の天才若手ギタリストを次々に発掘してきたことでも有名だ。そのランディ・ローズ在籍時のアルバムももちろんよいのだが、ここでは83年にリリースされた『月に吠える』をおすすめしたい。LAメタルブームを象徴するような、日系ギタリストのジェイク・E・リーの超絶テクニック、スリリングでスピード感あふれるサウンドは、ハードロックファンなら押さえておきたいところだ。
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ツインギターによる「ラットンロール」と呼ばれた独自のスタイルで一世を風靡したラットの『情欲の炎』。 |
LAメタルらしさという点では、ラットも聴いておきたいバンドのひとつだ。2人のギタリストによるヘヴィなリフのスタイルは「ラットンロール」と呼ばれて人気を得たし、どの曲もメロディはキャッチーで、実はポップでかなり聴きやすい。とくに「ラウンド・アンド・ラウンド」や「ウォンテッド・マン」といったヒットシングルを収録した『情欲の炎』は、今聴いてもカッコいい。
日本のハードロック/ヘヴィメタルのパイオニア
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沖縄から来た日本のハードロックの元祖、紫。入門編としてはベスト盤『MURASAKI FOREVER』がおすすめ |
日本にも数多くのハードロック/ヘヴィメタルのアーティストがいる。その先駆者ともいえるのが沖縄出身の紫というバンドだ。名前からも想像がつくが、ディープ・パープルの影響を強く受けたバンド、いやディープ・パープルそっくりのバンドといってもいいだろう。75年にデビューするや、日本人離れしたパワーと演奏力であっという間に人気を獲得した紫だが、まずは『MURASAKI FOREVER』がおすすめだ。彼らの代表曲を10曲集めたベスト盤なので、日本のハードロックの原点ともいえる紫サウンドがよくわかるだろう。
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日本のハードロックバンドが世界に進出した記念すべきアルバム『THUNDER IN THE EAST』。アメリカでもチャートインしている。 |
日本のハードロックバンドは、なぜか関西から出てくることが多い。その代表がラウドネスだ。レイジーというグループがその前身だったことを知っている人も多いだろう。レイジーはアイドルグループだったにもかかわらず、サウンドがどんどんハードロック化していって、最終的にはその主要メンバーがラウドネスを結成する。国内で幅広い支持を得ただけでなく、海外に進出した初の国産ハードロックバンドとしても知られている。アメリカのチャートにも食い込んだ『THUNDER IN THE EAST』には、日本のギターヒーロー高崎晃の渾身のソロが詰め込まれていて、日本のハードロックが世界にも通用していたことがよくわかるだろう。
その後の日本のハードロックの礎を作ったパイオニアたちのサウンドは、今改めて聴いてみてみやっぱりすばらしい。ハードロックファンならぜひ聴いてみてもらいたいものだ。
【関連リンク】
ラウドネスの公式サイト
エアロスミスの公式サイト(英語)
KISSの公式サイト(英語)
モトリー・クルーの公式サイト(英語)