なにもリアルタイムである必要はないのだ。特に歌は。
J-POPガイドによる反戦歌特集は1970年代から2000年代まで時代を分けて御紹介、2回連続の記事でお届けします。
J-POPガイドによる反戦歌特集イントロ
V.A. 『反戦歌』 1969年に設立、日本の独立レーベルの草分けとなった「URC」の音源から反戦歌を15曲集めた、タイトル通りのコンピレーション |
また、PUNK~NEW WAVE世代はフォークソングを揶揄する傾向があり、ぬるい「歌謡フォーク」や陰気な「四畳半フォーク」と、しっかり主張をもったプロテストソングとしてのフォークソングとを一緒くたにして聴かず嫌いでいた私は、後年とても後悔することになります。
犠牲者の心の叫びが胸に来る
1970年代編 美輪明宏 「祖国と女達(従軍慰安婦の唄)」
美輪明宏 『白呪』 オリジナルはエレック・レコードより発売。桑田佳祐や槇原敬之も歌った名曲「ヨイトマケの唄」(コチラやコチラで聴けます)も収録されている |
それは美輪明宏1975年のアルバム 『白呪(びゃくじゅ)』 。今ではTVタレントとして、アグリーなのかプリティーなのかよくわからないお姿が知られるところですが、『白呪』のブックレットの中にはまるで吉井和哉※のような彼がいます。
※ 吉井和哉
元THE YELLOW MONKEYのヴォーカリスト。美輪明宏との親交も厚く『白呪』のブックレットにはコメントを寄せている。最新作は 『Hummingbird in Forest of Space』
戦争に人生を無いものにされた犠牲者、歴史に負かされた弱者の立場に身を置いて歌われる歌の数々は、1935年生まれで長崎市出身という彼のプロフィールを知ると、その重みがいっそう迫ってきます。
中でも1曲目「祖国と女達(従軍慰安婦の唄)」は、役者として数多くの不幸な女性を演じてきた美輪ならではのもの。その唄からは悲しみを越えた達観すら感じられるのです。
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