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インナーゲーム オブ ジャズ Part1(4ページ目)

30年前に一大センセーションを巻き起こし、今また「コーチングブーム」の中で再評価が始まっている「インナーゲーム」理論。話題の理論をジャズ演奏に活用!

執筆者:鳥居 直介

インナーゲームに対する疑問

前ページまでに述べたインナーゲームに対する疑問はいろいろと考えられるが、大きくは次の2つに集約されるだろう。

(1)インナーゲームとは要するに思考放棄を促しているのか? だとすれば、それは音楽演奏には向かない理論ではないか。なぜなら、楽器演奏というのはあくまで意思の力で楽器をコントロールすることであるからだ。身体を意思の支配下に置かずに、どうして楽器が演奏できるのだ?

(2)インナーゲームがセルフ1の問題点を指摘していることは理解できた。しかし、人間にとって「考えない」ということは不可能ではないか? 悟りを開いたお坊さんではないのだ。どうやればそんなことが可能になるのか? そこに答えない限り、インナーゲームは絵に描いた餅のような理論ではないか。

まず、(1)については、先にも述べたとおり、インナーゲームは個々人が「やって、確かめる」以外に答えが出ない(つまり、科学的な証明は不可能)理論だと私は考えている。

とはいえ、理論的にその答えに迫れないこともなく、私もそのことに興味があるので、この記事の続編Part2として、インナーゲームの理論的な側面について考察する予定だ。こちらは興味のある人に読んでいただければよいと思う。

一方、(2)については、インナーゲームが、極めて具体的な方法論をもった「ゲーム」であるということが、お答えになるのではないか、と考えている。こちらについては、12月アップ予定のPart3をご参照いただきたい。

演奏家のための「こころのレッスン」―あなたの音楽力を100%引き出す方法
演奏家のための「こころのレッスン」―あなたの音楽力を100%引き出す方法
バリー・グリーン、ティモシー・ガルウェイ (著), 辻秀一、池田並子、丹野由美子 (翻訳)。音楽之友社、2005年。
もしかすると、ここまで読んだ読者の中には「インナーゲームとは“コーチング理論”のことではないか?」と感じた方もおられるかもしれない。私はその2つの理論がどのようにつながっているのかの歴史的経緯をまったく知らないのだが、たしかに両者はそっくりである。ただ、コーチング理論が基本的に「コーチ」と「生徒」という存在を置くのに対し、インナーゲームの基本はあくまでも個人であり、その方法論も個人が用いるものであるというところが、独特ではないかと思う。

また、インナーゲームを楽器演奏に生かそうという試みは、『演奏家のための「こころのレッスン」』という本で展開されている。もし、本稿を読んで、本格的に取り組みたいと思う人がいたら、こういった本を参考にされるのもよいかもしれない。



※本稿の前編、続編は以下のとおり!

インナーゲーム オブ ジャズ Part1
インナーゲームの理論的側面について分析する!
インナーゲーム オブ ジャズ Part2
インナーゲームの理論的側面について分析する!
インナーゲーム オブ ジャズ Part3
インナーゲームを演奏・鑑賞に生かす具体的な方法論を解説!



●参考書籍新インナーゲーム
演奏家のための「こころのレッスン」―あなたの音楽力を100%引き出す方法(原題:The Inner Game of Music)
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