ポップス・ジャズの垣根を越えて UA in ジャズ!
■UA&菊地成孔『Cure Jazz』
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UA&菊地成孔『Cure Jazz』 2006年7月リリース。文筆家などとして多方面で活躍中の日本ジャズシーンのイノベーター・菊地成孔と、独自の歌唱世界を展開するUAが夢のコラボレート。色物企画ではない、真にジャズシーンを牽引する一作に仕上がっている。また、収録曲の歌詞カードにつけられた、菊地訳による日本語詩も必見だ。
1. Born to be blue
2. Night in Tunisia
3. Over the rainbow
4. Music on the planet where dawn never breaks
5. Ordinary fool
6. 嘆息的泡
7. This city is too jazzy to be in love
8. Luiza
9. Honeys and scorpions
10. Hymn of Lambarene
11. I’ll be seeing you
12. Nature d’eau
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はじめにご紹介するのは、ジャズになじみのない彼女でも知っているであろうポップス歌手、UAのジャズアルバム。UAといえば、NHKのみんなの歌での活躍や、ポップス系の歌&トーク番組での独特のキャラクターで高い知名度を誇る歌手ですが、そんな彼女がジャズを歌うとどういうことになるのか。
これが実に「いい」んですね。ガイド記事「UA×菊地成孔『Cure Jazz』(06/8/6)」でも紹介しましたが、本作のプロデューサーは菊地成孔。テレビ「情熱大陸」にも出演した、日本の音楽アートシーンを牽引するクリエーターの一人です。彼をして、「時を支配する力を持つ」と言わしめたUAのヴォーカルは、ポップス、ジャズといった枠組みを越えた力に満ちています。
菊地のサックスも、決して下手な技巧には走らない、音色にこだわったいいフレーズを聞かせてくれます。菊地成孔プロデュース作品は、普段ポップスを聴きなれた人にはやや濃厚で、難解な側面もあるのですが、本作はUAというフィルターを通すことによって、非常に聴きやすい仕上がりとなっています。
会話も途切れる時間帯に、部屋の照明を落とし、UAの歌声に酔いしれる一夜も一興であろうと思います。