アーシー(earthy)
[あーしー] 黒人的で、ブルースのニュアンスの強い演奏のこと。音楽的な構造や、譜面に起こせるようなはっきりとしたアーティキュレーションというよりは、ビブラートやフレージングの間合いなど微妙なニュアンスに表われる独特の「泥臭さ」を指すことが多い。●類義語
ファンキー(funky)
クロい(俗語)
いなたい(俗語)
アーティキュレーション(articulation)
[あーてぃきゅれーしょん] 原義は「関節、節目」。音楽用語としては音の強弱や、音符の長さ、切り方などによって旋律に表情をつける演奏技術の総称。また、そうした演奏を譜面上で指定するアクセント、スタッカート、スラーなどの記号の総称。ジャズ演奏においては、アーティキュレーションの微妙な差違が、ミュージシャンの個性を際だたせる大きな要因となるため、鑑賞時には大きなポイントとなる。
アドリブ(adlib)
[あどりぶ] 即興演奏のこと。用意された譜面にしたがった演奏ではなく、その場のインスピレーションにしたがって自由に行う演奏の総称。ただし、ジャズにおいてアドリブといった場合には、ソロ演奏者が、その時演奏されている曲のコード進行に従って行うもの、という限定された意味で用いられることが多い。類義語のインプロビゼーション(improvisation)には、コード進行や曲構成も存在しないフリー・インプロビゼーションのニュアンスも含まれており、フリージャズなど、いわゆる「ノー・ルール」の即興演奏に関しては、アドリブという言葉よりも、インプロビゼーションという言葉が使われることが多い。
●例文
「テーマが終わったらギター、ピアノが1コーラスずつアドリブをやる」
●類義語
インプロビゼーション(improvisation)
アフター・ビート(after beat)
[あふたーびーと] 4拍子において、偶数拍である2拍目、4拍目にアクセントがおかれるリズムのこと。バック・ビート(back beat)ともいう。アフター・ビートは、ボサノヴァを除く20世紀以降のポップミュージックの多くに見られるが、ジャズやロックンロールでもっとも強く感じられる。
その発祥はリズム&ブルースだともディキシーランドだとも言われるが、はっきりしていることは、黒人奴隷がアメリカで音楽文化を築き上げていく中で持ち込んだリズムの1つであるということである。
●類義語
バック・ビート(back beat)
●対義語
ダウン・ビート(down beat)
アフロ・キューバン(afro cuban)
[あふろきゅーばん] キューバをはじめとするカリブ海地域の黒人ミュージシャンが産み出した、サルサやマンボといった音楽、あるいはそれに影響を受けた音楽の総称。ジャズの文脈で使用される場合、キューバ音楽の影響を受けた演奏や録音、あるいはミュージシャンを指す場合が多い。アート・ブレイキー(ds)やソニー・ロリンズ(sx)を初めとして、いわゆるジャズジャイアンツにもアフロ・キューバンを追求、あるいは強い関心を持ったケースは少なくない。
●関連語
サルサ
マンボ
キューバ音楽
アレンジ(arrange)
[あれんじ] 編曲の意味。主に、ポップミュージックでは、主旋律に対し伴奏をつける作業を指す。ジャズの即興演奏は、瞬間ごとの作曲と編曲の積み重ねにほかならず、そのためスタジオワークとしてのアレンジという行為が演奏の前面に出ることは、他の音楽ジャンルに比して少ない。
しかしながら、ジャズ史を飾るジャズ・ジャイアンツたちの足跡をひもとくと、ほとんど例外なく、名アレンジャーであったことに気づかされる。「クールの誕生」を産み出したマイルス・デイヴィス、ギル・エヴァンスらは言うにおよばず、エリントン、ミンガスらの音楽は、その卓越したアレンジ力を抜きには語り得ない深みを持っている。
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