盲目の巨匠、レニー・トリスターノ
■リー・コニッツ『サブコンシャス・リー』リー・コニッツ『サブコンシャス・リー』 49年録音。サックスのリー・コニッツ名義だが、実質的にはレニー・トリスターノ色が支配的な作品。クール派の名作。 1.サブコンシャス・リー 2.ジュディ 3.プログレッション ほか12曲。 |
『サブコンシャス・リー』はトリスターノの音楽性、引いては「クール派」を語るうえで外せない名盤。人間誰しもが持つ生理的な「こうくるだろう」をとことん外しながらも、なぜかスウィングを続ける独特の音楽世界。マニアックかもしれないが、真の「音楽好き」なら聞いて損はない。かなりトランスできます。
完全無欠の怪人、ローランド・カーク
■ローランド・カーク『溢れ出る涙』ローランド・カーク『溢れ出る涙』 68年作品。奇才・カークの魅力満載の名盤。 1.ブラック・アンド・クレイジー・ブルース 2.ラフ・フォー・ロリー 3.メニー・ブレッシングス 4.フィンガーズ・イン・ザ・ウィンド 5.溢れ出る涙 6.クレオール・ラヴ・コール 7.ハンドフル・オブ・ファイヴス 8.フライ・バイ・ナイト 9.ラヴレヴリロキ |
ローランド・カーク(1935-1977)。2歳で視力を失う。テナー・サックス、フルートを中心に、口に3本、鼻で2本といった具合に同時演奏を繰り出すのが得意技。色物に見られがちだが、管楽器奏法に必須の循環呼吸法を完全にマスターしていることを始め、演奏家としての実力は高く評価してよい。
それ以上にカークの魅力を構成しているのは、何と言ってもその歌心。黒人独特のファンキーさ、という概念では捉えきれない、何ともいえない旋律のかわいさは、他のジャズメンには決して真似できないカーク独自の世界だ。
闘うジャズ・ジャイアンツ、チャールズ・ミンガス
■チャールズ・ミンガス『直立猿人』チャールズ・ミンガス『直立猿人』 56年作品。タイトルチューンは4楽章からなる大作。ミンガスの太いベースラインにジャッキー・マクリーン&J.R.モンテローズの2人のサックスが織りなす咆吼が絡み合う。 1.直立猿人 2.霧深き日 3.ジャッキーの肖像 4.ラヴ・チャント |
一方、人種差別への対抗運動を前面に押し出したミュージシャンとしても有名で、そのルーツは著書『ミンガス―自伝・敗け犬の下で』で知ることができる。
僕がミンガスを愛してやまないのは、何よりその音色とビート感。一音鳴っただけで「あ! ミンガスだ」とわかる独特の強力なビート感はワンアンドオンリーである。
今回のガイド記事はいかがだったでしょうか? 次回は夏のドライブはこれで決まりの「ボサノヴァ特集」。いつもより多めにご紹介して、夏のお出かけに備えて頂きたいと思っております。乞うご期待!