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vol.5 奇人・変人好きのための入門盤(3ページ目)

あなたの趣味志向に合わせておすすめジャズCDを紹介! 第5回は奇人・変人がテーマ。モンク、ミンガスなど、ジャズ界きっての奇人・変人をご紹介。

執筆者:鳥居 直介

盲目の巨匠、レニー・トリスターノ

■リー・コニッツ『サブコンシャス・リー』
リー・コニッツ『サブコンシャス・リー』
リー・コニッツ『サブコンシャス・リー』
49年録音。サックスのリー・コニッツ名義だが、実質的にはレニー・トリスターノ色が支配的な作品。クール派の名作。
1.サブコンシャス・リー
2.ジュディ
3.プログレッション
ほか12曲。
レニー・トリスターノ(1919~78年)イリノイ州シカゴ生まれ。ニューヨークにて死去。生まれつき視力が弱く、10歳ごろに失明。州立盲学校卒業後、アメリカ音楽院に進む。12歳からピアノ奏者としての活動を始め、当時はクラリネットやサックスも吹いていた。46年ニューヨークに進出し、5年近くの歳月を独自の音楽理論研究に費やした後、51年に音楽学校を開設。リー・コニッツ(sx)、ビリー・バウアー(g)らを中心に、「クール派」と呼ばれる、独自路線をともに創造することとなった。

『サブコンシャス・リー』はトリスターノの音楽性、引いては「クール派」を語るうえで外せない名盤。人間誰しもが持つ生理的な「こうくるだろう」をとことん外しながらも、なぜかスウィングを続ける独特の音楽世界。マニアックかもしれないが、真の「音楽好き」なら聞いて損はない。かなりトランスできます。

完全無欠の怪人、ローランド・カーク

■ローランド・カーク『溢れ出る涙』
ローランド・カーク『溢れ出る涙』
ローランド・カーク『溢れ出る涙』
68年作品。奇才・カークの魅力満載の名盤。
1.ブラック・アンド・クレイジー・ブルース
2.ラフ・フォー・ロリー
3.メニー・ブレッシングス
4.フィンガーズ・イン・ザ・ウィンド
5.溢れ出る涙
6.クレオール・ラヴ・コール
7.ハンドフル・オブ・ファイヴス
8.フライ・バイ・ナイト
9.ラヴレヴリロキ

ジャケ写を見て頂ければ説明は不用かもしれない。360度どこから見ても奇人・変人(笑)。

ローランド・カーク(1935-1977)。2歳で視力を失う。テナー・サックス、フルートを中心に、口に3本、鼻で2本といった具合に同時演奏を繰り出すのが得意技。色物に見られがちだが、管楽器奏法に必須の循環呼吸法を完全にマスターしていることを始め、演奏家としての実力は高く評価してよい。

それ以上にカークの魅力を構成しているのは、何と言ってもその歌心。黒人独特のファンキーさ、という概念では捉えきれない、何ともいえない旋律のかわいさは、他のジャズメンには決して真似できないカーク独自の世界だ。

闘うジャズ・ジャイアンツ、チャールズ・ミンガス

■チャールズ・ミンガス『直立猿人』
チャールズ・ミンガス『直立猿人』
チャールズ・ミンガス『直立猿人』
56年作品。タイトルチューンは4楽章からなる大作。ミンガスの太いベースラインにジャッキー・マクリーン&J.R.モンテローズの2人のサックスが織りなす咆吼が絡み合う。
1.直立猿人
2.霧深き日
3.ジャッキーの肖像
4.ラヴ・チャント
チャールズ・ミンガス(1922-1979)は、間違いなく20世紀が産んだ偉大な作曲家の1人である。デューク・エリントンの後継者としての評価も高く、親しみやすい旋律を中核に据え、それを多様に料理した楽曲の完成度は高く、どのアルバムも、何回聴き直しても古びない重厚さを持っている。

一方、人種差別への対抗運動を前面に押し出したミュージシャンとしても有名で、そのルーツは著書『ミンガス―自伝・敗け犬の下で』で知ることができる。

僕がミンガスを愛してやまないのは、何よりその音色とビート感。一音鳴っただけで「あ! ミンガスだ」とわかる独特の強力なビート感はワンアンドオンリーである。



今回のガイド記事はいかがだったでしょうか? 次回は夏のドライブはこれで決まりの「ボサノヴァ特集」。いつもより多めにご紹介して、夏のお出かけに備えて頂きたいと思っております。乞うご期待!

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