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フュージョン特集!

1970年代にジャズ界に大きな変革をもたらしたフュージョン。親しみやすいメロディでジャズのファン層を拡大した、フュージョンの魅力をガイドが語る。

執筆者:佐久間 啓輔

文章: 佐久間 啓輔(All About「ジャズ」旧ガイド)

フュージョンとは「融合」するという意味。ドラゴンボールでこの言葉を耳にされた方も少なくはないでしょうが、そう、そのフュージョンです。音楽用語ではジャズとロックの融合。または、色々な音楽の融合といったところでしょう。そしてその中心にいたのが、ジャズミュージシャンでした。

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フュージョンの幕開けには、やはりこの人が登場。進化し続けた男、マイルス・デイビスです。1969年に録音されたマイルスの『ビッチェズ・ブリュー』が、歴史上最初のフュージョンアルバムと言われています。…とは言っても、ここにはいわゆるフュージョン音楽はありません。フュージョンの原点といわれる最大の要因は、そのメンバーたちからくるものです。

『ビッチェズ・ブリュー』に参加したミュージシャンたちは、後にフュージョンの代表的グループを結成します。ウェイン・ショーター(サックス)とジョー・ザビヌル(キーボード)によるウェザー・リポート。チック・コリア(ピアノ)によるリターン・トゥ・フォーエバー、ジョン・マクラフリン(ギター)によるマハビシュヌ・オーケストラ。やはりマイルスバンド出身のハービー・ハンコックなんかもこの時代にフュージョン畑に身を投じます。これらのバンドがジャズ界にフュージョン旋風を巻き起こしたことは言うまでもありません。マイルスの進化によって、その遺伝子がジャズ界にばらまかれることになったのです。

70年代の後半になると、より洗練されたフュージョンミュージシャンが続々と現れ、フュージョンブームが訪れます。ラリー・カールトン、リー・リトナー、パット・メセニー、ジョージ・ベンソン等、ギタリストの台頭が、目立つ時代です。管楽器に押されがちだったジャズギターが、ロックとの融合により、主役となる時がやってきたのです。しかしそれに負けじと人気を博したのが、サックスのデビッド・サンボーン、トランペットのランディとサックスのマイケルのブレッカー・ブラザース。時にはメカニカルに、時にはメロディアスに。そんなコントラストが無理なく溶け込む音楽が、この時代のフュージョンなのです。

そして天才ジャコ・パストリアスが登場します。天才というべきか奇才というべきか迷うところですが、ジャコの作った音楽、エレクトリックベースの演奏スタイルは、87年に35才でこの世を去ってからも、ジャズ界に多大な影響をあたえています。ステージを降りてからの奇行の数々も、ジャコを語る上では外しがたいのですが、今回は割愛…。

日本でも素晴らしいフュージョンが生まれました。日本のモダンジャズの頂点にたつサックスの渡辺貞夫は『マイ・ディア・ライフ』『カリフォルニア・シャワー』を録音。日本のフュージョンのバイブルとなります。その親しみやすいメロディは、ジャズファンならずとも思わず鼻歌のサウンドです。フュージョンの殿堂、六本木PIT INNがオープンしたのが1977年。この頃には、スクエアやカシオペアがデビューします。日本人離れしたテクニックと、やはりメロディ重視の曲作りで、フュージョンブームに拍車をかけることになりました。

90年代に入り、フュージョンという言葉はあまり使われなくなります。理由は簡単。ジャズと呼ばれる音楽の多くに、なんらかの融合があり、それが当たり前になったからです。逆に純粋な4ビートのジャズが、アコースティックジャズだのトラディショナルジャズだの区別して呼ばれるようになりました。しかしフュージョンは消えてしまったわけではありません。FM放送などを聴いていると、そこかしこにフュージョンの「匂い」がただよっています。フュージョン特有のリズム、ハーモニー、メロディ、はたまた演奏技法や録音手法は、ちまたに溢れているようです。


関連リンク:フュージョン現代ジャズ

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