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海外ドラマのいまと昔(3ページ目)

80年代、90年代、そして2000年代と、過去30年間を振り返りながら「海外ドラマのいまと昔」をご紹介いたします。

執筆者:堀川 樹里


ツイン・ピークス

ワンランク上のハイクオリティードラマが続出した90年代

90年代はシットコムが高い視聴率を稼いた時代でバラエティーに富んだシットコムが次々と誕生しました。中味のない番組(The show about nothing)をキャッチフレーズにした日常スケッチ『隣のサインフェルド』(89年)の爆発的なヒットに引き続き『そりゃないぜ!?フレイジャー』(90年)、ゲイの弁護士と大親友のデザイナーがマンハッタンで同居する『ふたりは友達?ウィル&グレイス』(98年)、口うるさい両親、強い妻に悩まされる中年男の『Hey!レイモンド』(96年)など、国民的ドラマが次々と登場したのです。

シットコムは、時事ネタがふんだんに振り込まれているため日本人の笑いのツボとはずれておりピンと来ないかもしれませんが、この時期にアメリカに居た方、アメリカと縁が深かった方には懐かしく感じられるドラマだと思います。90年代のアメリカを知りたいという方はぜひ、上に挙げたシットコムを見てください。この時代のアメリカがギュッと凝縮されています。

80年代、バーに集まる人間の友情物語を描き大ヒットした『Cheers』(82年)に続くような形で登場した『フレンズ』(94年)は、ターゲットを独身男女6人に絞り大ヒットしました。メインキャラクターを演じていた6人全員が大ブレイクし、時の人となりました。

『ビバリーヒルズ高校白書/青春白書』も、70年代から続いているプライム・ソープと同じ路線で、リッチな人々にスポットを当てていますが、今回はビバリーヒルズに住む高校生たちが主人公に。貧富に関わらずアメリカのティーンが面している問題が赤裸々に描かれドラマは大ヒットし、メインキャラクターを演じていた役者らも『フレンズ』同様大ブレイク。パパラッチに追わタブロイド誌をにぎわせることになったのでした。

摩訶不思議な怪奇現象などをテーマにした名作もこの時代に生まれています。鬼才デビット・リンチ監督が手掛けた、これまでにないタイプのミステリードラマ『ツイン・ピークス』(90年)と科学や常識では説明できない怪事件を追う『X-ファイル』(93年)。この二つは真似ることが不可能な作品、超えられない作品として今なお熱狂的なファンから絶大な支持を受けています。

同じく熱狂的なファンを生んだ弁護士ラブコメディ『アリーmyラブ』(97年)は80年代の『TVキャスター マーフィー・ブラウン』同様キャリアに生きる女性が主人公なのですが、『アリー~』はコメディではなくドラマであり、幸せを追い求める繊細な女性の気持ちが見事に描かれ多くの女性の共感を呼びました。

もうひとつの人気弁護士ドラマ『ザ・プラクティス ボストン弁護士』(97年)は、本格的社会派法廷ドラマとして手に汗握る展開となっています。前半は刑事ドラマ、後半は検察の訴追の様子を描いた『ロー&オーダー』(90年)も、独特の緊迫感溢れる番組構成で大ヒットなり、『Law & Order 性犯罪特捜班』(99年)、『Law & Order Criminal Intent』(2001年)のスピンオフも人気番組となっています。。アメリカ軍犯罪法務部JAGの活躍を描いた『JAG 犯罪捜査官ネイビーファイル』(95年)もタブーとされがちな事件なども取り上げ大きな話題を呼びました。

80年代に放送されていた『St. Elsewhere』『Hill street Blue』に、より一層のリアリティー感を加え、最高級のスタッフにより作られた医療ドラマの決定版『ER 緊急救命室』(94年)がスタートし、同年放送開始となった『Chicago Hope』(94年)と共に新しい医療ドラマの時代を築き上げていきました。『ER』を手掛けたジョン・ウェルズは、他に『サード・ウォッチ』(99年)や下で紹介している『ザ・ホワイトハウス』など、クオリティーの高いリアリティー・ヒューマンドラマを製作し、90年代大活躍しました。

政治ドラマのカテゴリーでも話題の作品が登場。マイケル・J・フォックスが病気のため途中でチャーリー・シーンにバトンタッチしたコメディドラマ『スピン・シティ』(96年)は軽いタッチで政治の世界が紹介しており、『ザ・ホワイトハウス』(99年)はタイトル通りホワイトハウスが舞台の壮大なスケールのドラマで、リアリティー溢れるヒューマンドラマとしても高い評価を得ました。

魔女ドラマも復活しており『バフィー恋する十字架』(97年)、『チャームド魔女三姉妹』(97年)が日本でも人気となりました。

90年代には、これまでのドラマの常識を覆す作品が続出していますが『ザ・ソプラノズ~哀愁のマファイア』(99年)以上に衝撃を与えた作品はないといえるでしょう。コマーシャルのない有料チャンネル米HBOで放送されたため規制が緩く、視覚的により一層リアルな表現が可能となり、結果最高級のヒューマンドラマが完成したのだといわれています。

HBOでは凶悪犯ばかりが収容されたマキシマム・セキュリティー刑務所が舞台の『OZ』(97年)、マンハッタンに住む女性たちの恋愛を赤裸々に描いた『SEX and the City』(98年)など、大人向けの人気番組なども放送されています。これらの名作はHBOだからこそ誕生したのです。


次は、映画を超えるクオリティーのドラマが続出する2000年代です次ページへ>>
日本でも社会現象にまでなった『ツインピークス』
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