07年以降、ケーブルテレビからネット配信時代へシフト!

ここ数年、インターネットの配信サービス企業がドラマ製作に乗り出すことで、米国のドラマ界は激変しています。

ここでちょっと米テレビ事情をおさらい。70年代までは、ABC、NBC 、CBS 、FOXの地上波4大ネットワークがドラマ界を牛耳っていました。それが80年代に入り、多チャンネルのケーブルテレビ全盛となります。

なかでもHBOは、有料チャンネルとして全米初の成功をおさめます。スポンサーの顔色を伺う作品を作らざるえない地上波とは違い、契約料が収入源のHBOは、視聴者にとって魅力ある斬新で面白い作品の数々を制作して、ドラマ界に新風を巻き起こしました。

私も大好きな30代シングルの恋と仕事の本音を描く『Sex and the city』(1998年~2004年)は世界中の女子を夢中にさせ、エミー賞でケーブルテレビ局初のコメディシリーズ部門作品賞をはじめ、7つの賞を獲得。各国でオンエアされる大人気作となりました。

その後、2007年以降にドラマや映画のインターネット配信サービスを手掛けるネットフリックス(Netflix)、フールー(Hulu)、アマゾン・インスタント・ビデオ (amazon instant video)が台頭し、配信時代に突入。一定期間に定額で見放題のメリットがユーザーに受け入れられ、ケーブルテレビを解約する人が増加。会員数が急増し資金ができた各社は、しだいに既存の作品を流すだけでなく、オリジナル作を手掛けるようになっていきます。


ネットフリックスのユーザー急増で、米最大のレンタルチェーンが倒産!?


なかでも、ケーブルテレビ時代のHBOに匹敵する破竹の勢いなのがネットフリックスです。

創業は1997年。オンラインでのDVDレンタル業からスタートして、2007年にインターネットのストリーミングサービスを開始。パソコンやスマートフォンの普及を追い風に会員数を増やし、現在、全米で3000万人以上が利用しています。さらに、世界50か国に進出しており、海外で5000万人以上の会員数を誇ります。

ご当地、最大のレンタルチェーン「ブロックバスター」が潰れたのもネットフリックスの影響大! と言われているほど。

ネットフリックスの人気に拍車をかけたのが、コンテンツの自社制作。幅広いジャンルの映画やドラマの新旧作をラインナップするだけでなく、2012年からはオリジナル番組で注目を集めました。

とりわけ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』(2013年~)は、『セブン』『ソーシャル・ネットワーク』など大ヒット映画を手掛けたデヴィッド・フィンチャー監督がドラマシリーズを初プロデュース。しかも、主演にはオスカー俳優、ケヴィン・スペイシーを迎え、総制作費100億円をつぎ込んだことで大話題となりました。

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全米では2013年2月に一挙配信されるや、たちまち大評判となり、ネットドラマとして初めてエミー賞にノミネートされ、3部門受賞という快挙を成し遂げたのです。まさかネット配信作が受賞するはずがないという業界の予想を見事に裏切る形で……。

大統領選で尽力した見返りに要職に着くはずだった政治家の10倍返しの復讐劇、という作品自体のクオリティーの高さもさることながら、一挙配信でユーザーの都合のいい時間に、手軽に一気に観られるシステムが人気に火をつけ、評判が口コミやSNSで拡散。爆発的な人気に繋がったと考えられます。本作は、現在、日本ではフールーで配信中です。
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ハウス・オブ・カード 野望の階段
(c)2013 MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.


あのW・アレンがアマゾンと契約、初のドラマシリーズを手掛ける!

かたや、アマゾンは2010年に映画制作会社を設立し、自主制作に力を入れてきました。その成果が、今年1月に開催されたゴールデン・グローブ賞で結実! オリジナルドラマ作、トランスジェンダーの父親と家族の葛藤をコメディタッチで描いた『Transparent(原題)』がコメディ・ミュージカル部門作品賞に輝いたのです。


さらに、オリジナル作をテコ入れすべく、オスカー監督ウッディ・アレンと契約。なんと、アレンは監督生活40年余りで初めてテレビシリーズの脚本・監督を手掛けることになります。30分番組を1シーズン分で、タイトルや内容は未定で、2016年公開予定。

「どうしてやることになったのか、自分でもわからない。どこから始めればいいのかもわからない」と、アレンはコメントしていますが、映画&ドラマファンの注目度は高まるばかり!

また、アマゾン・スタジオのロイ・プライス副社長は「ウディ・アレンの登場人物とコメディは、以前からテレビでも表現できると思っていた。特に最近のテレビはシリーズ作品が主流で、クセのあるキャラクターも受け入れられやすくなった」と、アレンに期待を寄せます。

加えて、あのリドリー・スコット制作総指揮のドラマシリーズ『The Man in the High Castle(原題)』の制作にもゴーサインを出しました。あのフィリップ・K・ディックのSF小説『高い城の男』が原作で、こちらも期待値が上がらざるえません。

本体事業の莫大な資本を背景に、アレンやリドリーなどハリウッドの名匠を取り込んだところにアマゾンのドラマ制作に対する本気度が見てとれます。


人気ケーブルチャンネルHBOも参戦。
4社バトルの行方を注視すべし!

アマゾン、ネットフリックス、フールーが、オリジナルコンテンツの制作に資源をつぎ込み凌ぎを削るなか、ここにきて負けじとケーブルチャンネルHBOも参戦を表明。年内に独自の配信サービスを展開すると発表しました。

今後もネットフリックスのひとり勝ちが続くが、アマゾンが逆転するかこの4社バトルの行方はいかに!?

ちなみにネットフリックスは今秋、日本進出することを発表しました。ネット配信のキング上陸に、日本の業界は戦々恐々。さて、米国と日本の勢力図はどうなるか? どちらも目が離せません。


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