続きを楽しみにしていた海外ドラマが突然打ち切りに……。
先が気になって仕方ないのに、こんなことってあり!?

海外ドラマを楽しむ方であれば、一度はこんな経験をしたことがあるだろう。明らかに面白くないドラマだったら打ち切りも理解もできるのだが、なぜ秀作と呼ばれるハイクオリティドラマが突然打ち切りになってしまうのか?

今回は、海外ドラマが突然打ち切られてしまう裏事情について、ご紹介していく。
   

理由その1:予算と視聴率のバランスによるもの

ドラマがシーズンの途中で打ち切られたり、新シーズンの製作がキャンセルになったりする理由の一つに、「視聴率の低迷」がある。テレビ局はドラマ製作に多額の予算をかけているため、視聴率が振るわなければもちろん製作継続は難しい。

日本のテレビドラマでも、TBS系列の『夫のカノジョ』やフジテレビ系列『家族のうた』などが視聴率低迷を理由に、放送回数を当初の予定より減らしたことは記憶に新しい。

しかし、海外ドラマ界には「視聴率低迷」にいくつかの種類があり、視聴率が平均以上であるのに打ち切られてしまうケースがある。それが、「予算と視聴率のバランス」がとれない場合だ。
海外ドラマHEROES

シーズン4まで奮闘するも打ち切りに『HEROES』

『THE EVENT/イベント』や『FRINGE/フリンジ』『HEROES』のようなSFドラマは、視覚効果としてCGを駆使したり、スタントを雇ったりで、普通のヒューマンドラマやラブコメよりもとかく予算がかかる。ゆえにそれに見合うだけの視聴率確保が必須になってくる。

そのため、通常よしとされる視聴率の1.5~2倍程度の視聴率キープが目標に掲げられており、いわゆる「爆発的ヒット」が継続し続けない限り、シーズンの更新は難しくなる
 
秀作なのに打ち切られた作品として、スティーブン・スピルバーグが製作総指揮を務めた『Terra Nova/テラノバ』や『SMASH』などがある。
 
Terra Novaundefinedテラノバ

一話に約4億8,800万円もかけられたスティーブン・スピルバーグの打ち切りドラマ

『Terra Nova/テラノバ』は、『ジュラシック・パーク』で大ヒットを記録したスピルバーグが生み出す新たな恐竜ドラマとして世界中で話題を呼んだ。ストーリーも、未来で生きられなくなった人類が資源豊かな恐竜時代にタイムトリップし、一から生活をリスタートさせるという展開の中に、恐竜との共存や人類同士の闘争などを散らばせた壮大なものであった。

それなのにシーズン1で打ち切られたのは、予算と視聴率のバランスが崩れたからであろう。スピルバーグは本作一話に400万ドル(日本円にして約4億8,800万円)を費やしており、これは多額の製作費がかけられることで有名なハリウッド海外ドラマ界の平均予算約2倍と予想される。

つまりハリウッドでも桁はずれに高いドラマだったというわけで、放送を継続するには、北米のみならず、各国での視聴率もうなぎ上りぐらいのブームが必要だったのだ。
   

理由その2:裏番組との関係や放送スケジュールの問題

HOSTAGEundefinedホステージ

裏番組との競争に負けてしまった『HOSTAGE ホステージ』

次の裏事情として、ドラマの質とは関係ない放送スケジュールによる問題がある。

サスペンスドラマ『HOSTAGE ホステージ』は、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』や『アルマゲドン』などを産み出したハリウッドのヒットメイカー、ジェリー・ブラッカイマーがメガフォンをとり、ディラン・マクダーモットが主演したことで話題のドラマ。

一日一話で進んでいくタイムリミットサスペンスドラマで、キャストの演技力はさることながら、スリリングな展開で視聴者を楽しませていたのに、シーズン1で打ち切りになってしまった。

これは、「放送スケジュール」によるものが大きく、本番組の裏でジェームズ・スペイダーが主演する『ブラックリスト』が放送されており、裏番組との視聴率競争に負けてしまったからとの見方が強い。他の放送枠で放送していたら、シーズン継続できていた可能性も高い秀作である。

次に、映画『ダークナイト』の脚本家デイビッド・S・ゴイヤーがクリエイターとして参画し、『LOST』の後続番組として注目されていた『フラッシュフォワード』の打ち切りについて。本作は、全人類が同時に137秒間意識を失い、その間に6か月後の未来を目にしてしまうというSFドラマで、6カ月後、実際にその未来が訪れるのかどうか、視聴者は期待して見続けていた。

しかし、本作が放送しているタイミングと冬季オリンピックが重なったことで歯車が狂うことに。放送局サイドが、冬季オリンピックの放映で視聴者を奪われてしまうことを恐れ、オリンピック期間を含め約3か月半、放送を休止してしまったのだ。

さすがに3か月半も間が空いてしまうと、6カ月後の未来を楽しみに作品をみていた視聴者も、どうでもよくなってしまうのは無理がない。作品力はあるのに、期間をあけてしまったことにより見事に視聴者が離れていってしまったのである。まさに「放送スケジュール」によるミスであろう。
 

理由その3:ストライキや製作陣の交代などのネガティブニュース

打ち切りになる裏事情その3として、放送中のキャストの降板や製作陣によるストライキ、交代によるものがある。これらはハリウッドではよく聞く話だが、いくら面白い作品であっても、このようなネガティブなニュースが聞こえてくると、視聴者は冷めてしまうものである。
 
ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ

脚本家のストライキをきっかけに勢いを失った『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』

アクションドラマ、『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』は、滑り出しは好調だったものの脚本家のストライキをきっかけに勢いを失ってしまい、打ち切りになってしまった。

前述した『フラッシュフォワード』も、「放送スケジュール」のミスにあわせ、度重なる製作陣の交代などが打ち切り理由の一つに挙げられている。

面白くて引き込まれるドラマであればあるほど、視聴者はその世界に浸っておきたいものなので、「実は内輪モメしている」などの話は出ないにこしたことはないようだ。
 

理由その4:放送局のお家事情によるもの

最後に、裏事情その4として放送局のお家事情がある。

放送局が同時にいくつかの高予算ドラマ、またヒットドラマを抱えている場合、視聴率がよりよい方に軍配があがることがある。

“ヒットしているのだから2つ製作すればいいじゃん”と思うのだが、どっちも予算がかかるアクション系やSF系のドラマの場合、どちらか一つを打ち切ってしまうケースも少なくない。
 
ALMOST HUMAN/ オールモスト・ヒューマン

局のお家事情に巻き込まれた?『ALMOST HUMAN/ オールモスト・ヒューマン』

最近だと、『ALMOST HUMAN/ オールモスト・ヒューマン』がよい例だ。

大ヒットSFドラマ『FRINGE/フリンジ』を手がけたJ.J.エイブラムスとJ.H.ワイマンが再びタッグを組んだ、近未来のSFドラマとして話題の本作。人間の心を持ったアンドロイドと、心をなくした刑事のコンビが近未来における高度化した凶悪事件に挑む一話完結のストーリーで、シーズン1で固定ファンがしっかりついていたのに打ち切りになってしまった。

その理由として、放送局であるFOXが、バットマンの前章を描く『GOTHAM/ゴッサム』をはじめ3作品のヒット有望作を他に抱えていたことがあげられる。これらに予算をつぎ込みたかったゆえに、『ALMOST HUMAN/ オールモスト・ヒューマン』は残念ながら打ち切りになってしまったようだ。
 

有名クリエイターの作品でも容赦なくバッサリ!

ここまでの説明で、海外ドラマ打ち切りの裏には、面白い・面白くない、視聴率が良い・悪いだけでない、さまざまな事情があることをわかっていただけただろう。

かのスティーブン・スピルバーグやJJ・エイブラムスなどの巨匠でさえ、容赦なく打ち切られてしまうのがハリウッドなのである。

好きなドラマが突然打ち切られてしまうことほど悔しいことはないが、これもハリウッドの厳しい世界ゆえなのだと大目にみて、また新しいドラマに手を出していただけると嬉しい。

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