歌舞伎/歌舞伎関連情報

『伽羅先代萩』 その2

4月歌舞伎座の演目から、『伽羅先代萩』のあらすじとみどころを独断と偏見でご案内いたします。

執筆者:五十川 晶子

正義側と、それを狙う謀反側と



いわゆる御家騒動を描いた演目の代表的なものである。江戸時代、大名家の家督相続争いや家臣の権力争いなど、藩全体を揺るがす勢力争い。秩序を乱すような藩は幕府が上から取り潰してしまうという、幕藩体制を強固なものにすることが急務だった時代の事件だったのだ。古今東西ある話だし、現在でも企業や一族の内部で「御家騒動」は珍しくない。

この狂言も、大河ドラマにもなった山本周五郎の『樅ノ木は残った』も、江戸時代初期に起きた仙台の伊達藩の事件をベースにしている。この狂言では、時代を室町に、伊達を足利に置き換えている。弾正のモデルとなった家老・原田甲斐を悪人と見るか、身をもって藩を救った善人と見るか、その見解が時代によって変わって行くのが面白い。

そんな史実を知らなくても、この「先代萩」はほんとにみどころが多い。
キャラクターも揃っているし、構図が分かりやすい。
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