音楽も、2004年に上演されたスーパー歌舞伎『新・三国志3』に引き続き、加藤和彦が担当する。
19年前、スーパー歌舞伎が誕生したころ、「カブキ」と名づけられているにも関わらず「和楽器が入ってないと奇妙だとか、不愉快だとか、おかしいだとかという声が随分あった」(石川氏)。歌舞伎が三味線や鳴物を中心とした伝統的な音楽と切り離せない「音楽劇」でもある証左だろう。
だが時がたち、「『新・三国志』シリーズに至り、そのような観客の声は全くなくなった」という。「『新・三国志』シリーズでオーケストラと和楽器の共存が認められたと思っている」(石川氏)。今回も和洋中のミックスされた、若い二人のタケルに合わせたスピーディーな音楽展開がなされるだろう。
『ヤマトタケル』初演から昨年の『新・三国志』までおよそ20年。歌舞伎をめぐる新しい動きは年を経るごとに増加してきた。海外公演や自主プロデュースの公演、最近ではコクーン歌舞伎、野田歌舞伎、平成中村座といった公演はもちろん、劇団☆新感線を初めとする現代演劇のジャンルに歌舞伎役者が、それも継続的に出演する機会は格段に増えた。
歌舞伎役者の芸を多様な(特に現代的な)舞台環境で楽しもうとする傾向は確実に定着している。それにつれて、歌舞伎ファンの層も数も変わりつつある。スーパー歌舞伎がそれに大きく関与したことには間違いない。
「特等席(タケヒコ役)でヤマトタケル(右近)を観られる。それがうれしい」と段治郎。 |
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