●時代によって変化してきたスーパー歌舞伎の音楽
ケレンたっぷりのスーパー歌舞伎も、その時々の観客や役者、舞台技術の進展にしたがって、その演出もかなり変わってきているという。今回の新バージョンの『ヤマトタケル』も、初演・再演のものに比べかなりテンポアップし、最新の照明や音響技術を駆使したものになりそうだ。また今回は京劇の役者を加え、アクションシーンもかなりスペクタクルなものになるという。
石川耕士氏「以前の猿之助さんは、しつこいのが好きだったんですね(笑)。台詞は一度じゃ分からない。三度言わなくちゃ分からないって言っていたものですが、だんだん自ら惜しげもなくセリフを削るようになりましたね」。
一方で、『ヤマトタケル』はもはやスーパー歌舞伎の”古典”ともなりつつある。これ以上削る必要のないほど練られた演出も多い。
例えば大碓命(ヤマトタケルの兄)と小碓命(ヤマトタケル)の早替りなど、演劇的に必然性のある演出は存続する予定だ。また猿之助の希望で、「場割り」はそのままで、各エピソード、各幕を少しずつ”ダイエット”し、10年前の東京での再演よりもさらにスリムになった『ヤマトタケル』となる。