スーパー歌舞伎の古典『ヤマトタケル』。「僕らが次代に橋渡しする」
2005年3月、4月に東京・新橋演舞場で、あの伝説のスーパー歌舞伎第一作『ヤマトタケル』が甦る。それも今回は、主演が市川右近と市川段治郎のダブルキャストで、楽しみも倍増!
公演情報、演目内容についてはココ。(5月は大阪松竹座、6月は名古屋中日劇場)
スーパー歌舞伎といえば、市川猿之助がライフワークとして創始したいわば「新・新歌舞伎」。従来の古典歌舞伎の音楽や舞を取り入れ、かつ現代人が共感できるドラマを持った、スピーディな歌舞伎を目指した。その第一作がこの『ヤマトタケル』。ほかに『リュウオー』『オグリ』『八犬伝』『カグヤ』『オオクニヌシ』『新・三国志シリーズ』と、これまでに全9作品が上演されてきた。
ヤマトタケル(原作 梅原猛)は、図らずも兄を自分の手で殺め、熊襲や蝦夷を侵略しつつも父の愛に飢え、悩み続けるというどこか人間くさいヒーロー。だがあるとき自分の力と武功に驕り、故郷の大和を夢見ながら、白い大鳥となって天に召されていくという内容である。
初演時から、早替り、宙乗り、本火(ほんび)に、華やかな立ち回りなど、スペクタクル満載の舞台で、筆者も度肝を抜かれたのを思い出す。だがなにより印象的だったのは、新しい歌舞伎を求める猿之助の姿勢と、ヤマトタケルの「天翔ける心」がぴったりと重なっていたことだった。それは時に観ている者を息苦しくさせるほど、役と役者とが切り離せないものだった。そしてそれがストレートに感動に結びついていた。
そんな劇的なスタートを切ったスーパー歌舞伎の第一作『ヤマトタケル』に、猿之助一門の若い立役二人、市川右近と市川段治郎が挑む。猿之助自身は昨年脳梗塞で倒れ、スーパー歌舞伎、歌舞伎本公演とも出演せず、今回も脚本・演出を担当する。初演から19年。2005年の現代に、二人はどのようなヤマトタケルを見せてくれるのか。どう取り組むのか。
右近と段治郎、そして脚本・演出補として石川耕士氏を囲んで記者発表会が行われた。
今度のヤマトタケルはダブルキャスト。右・市川右近、左・市川段治郎 |