CHAOS―釈由美子写真集 講談社 撮影 斎門 富士男 ISBN 4063528006
総合評価☆☆☆☆☆
この本は価格が3800円と若干高いのだが、装丁や写真集としての形に特色があり、製作にはかなりお金をかけているのがわかる。表紙が赤いのは、帯と表紙の間に赤のサイン入りデスクパッドが付属されているためで、そのほかカッターで切らなければ見られない袋とじ数点、セル画シートのデザインと合わせて鑑賞するショット数点と単に機械工程だけでは処理できないような工夫がなされていて面白い。デスクパッドについては写真集に絡めての使用方法はうたってないが、デスクパッドを被せた表紙と外した表紙の見え方のちがいから、各写真に合わせてみると二通りの雰囲気が醸し出される。ただ、そこまでいうほど変わるわけでもないので、もう少しがんばって3Dメガネ風の写真を立体的に浮き出るものなどへの欲望も出てしまう。
美術写真本の中には3Dシートのようなものをつけて立体的に視覚できるものもあると聞いたことがあるが、アイドル写真集でも本格的な3D写真なんてあったら面白そうだ。立体的に浮かび上がる釈由美子の脚線美!。聞いただけでも書店へ足を運びたくなってしまわないだろうか?現状ではWEB上に画像が氾濫していることもあり、こういった仕掛けを作っていけば写真集の売り上げをWEB上の無料主義から保護してゆけるような気もする。印刷費用も高くなるだろうが、今回のCHAOSは複数写真家による競合という前回の「別冊釈由美子」同様、講談社と釈由美子の写真集業界へのあらたなチャレンジであり、高く評価できるだろう。
写真集は、前回の別冊釈由美子の中でも特に話題になった斎門 富士氏の部分のまま濃厚なキスシーン、開脚型、後背型、陰影が現れるバストショットなどなど前回以上に過激に表現されている。綴じ込み部分は仕掛けの部分なのであまり言えないと思うが、いろんな角度からやはり官能的な写真であるとは言えよう。現在、NHK「英語でしゃべらナイト」で魅惑の英会話を実践している釈由美子。アイドル学歴偏差値では5本の指にも入るといわれるほどで、一時期の奇天烈な会話とは裏腹に知的ベースの高いアイドルなのだが、このセクシー写真と英会話テレビでのインテリジェンスとの絶妙なコントラストは、向学心のある男子諸君を惹きつけながら、過激なスタイルにチャレンジする革命的なタレントである。