松坂慶子のネームバリューはこの中のものに比べても引けを取らないのだが、ターゲットとしては若干高めの年齢層になる。 宮沢りえは化け物的な売上だが、これは社会ブームという域までいっているし、菅野美帆も脱がないと思われていた正当派アイドルが突然脱ぎだし、記者会見で涙まで見せたので、この二つの記録は別格。また、出版不況という深刻な情勢化に4700円という値段がどうでるか?いずれにせよ幅広いおじさま達の購買力がランクインのカギを握るだろう。
写真集は直木賞作家なかにし礼氏が婦人画報に執筆した小説「さくら伝説」を体現した写真集であり、写真集の最後にはストーリーがなかにし礼氏のサイン入りで語られている。さくら伝説というのは、「さくらには古来から桜鬼という魔性の女が住んでいるから美しい」「さくらの下には男女の死体がいっぱい埋まっている」というような迷信から現代へと男女の話へ展開される「さくら」と「刺青」と「エロス」のストーリー。写真集の中もこの三つの要素が松坂慶子を通して表されている。
ページ数でゆくと20ページくらいのトップレス。ストーリーのなかの柱に「エロス」の部分があるためか、松坂慶子が一流の表情を演出するためか、リュックに入らない超大型な上、ショット自体も大きいためなのか、予想以上にエロスである。シーンとしては身体中に金粉を塗ったトップレス、和服&縄、トップレス&縄、自慰系裸体、黒の下着、汗がしたたる裸体にSM系目隠し紐&足に施錠、入れ墨全裸といった具合。小説とヌードがマッチした芸術作品ながら、小説自体がエロいので、写真集もそのようなテイストになっているわけだ。
松坂慶子氏の最近の活動などを拝見していると「妖艶」がキーワードになっているような気がする。泉鏡花の戯曲「天守物語」(妖怪系)の朗読会のプロデュース、2000年に公開の映画「さくや妖怪伝」での「土蜘蛛の女王」役、そして今回のさくら伝説の写真集と御年50歳ながら、妖艶なエロスを誌面いっぱいに表現している。主体性をもってテーマを体現しているところも一流の女優の証。値段は若干高いのだが、日本代表する女優の大胆なヌード写真集は購入する価値アリ。
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