他の人も同じ問題を抱えている
ガイド:いつもはカメラで相手を撮る立場の監督が、カメラの前で被写体となり、自分をさらけ出すことに抵抗はありませんでしたか。キョンスン監督:
抵抗はありませんでした。恥ずかしいことだとは思っていなかったので。私は堂々と生きているし、自分からありのままを見せるべきだと思ったのです。スタッフも最初から「私たち自身が正直でないと、他の人のストーリーを撮ることはできない」と言っていました。自分たちのことを見せずに他の人の話ばかりをするわけにはいかない、と。
スタッフも初めは自分自身を撮ってもいいのかな、とやや戸惑っていましたが、撮影が進むにつれ、自分の中での整理ができたようです。スタッフのうちの一人は、「自分の家族の話をするのは自信がない」というのでだいぶカットした部分があります。
ガイド:
自分の話を撮影・上映してみて良かったと感じるのはどんな点ですか。
キョンスン監督:
家族の問題を取り上げなくてはと思っていたのですが、実際スタッフとともにやってみると、本当に問題が多いと実感したこと(笑)。そして、将来生きていく方法についての、私自身の視野が広くなったことです。何よりも良かったのは、一緒に仕事をしていたスタッフたちも皆成長することができたことです。
心を開けばいいんだ、心を開いてみたら他の人も同じ問題を抱えているとわかったのです。自分の生き方は変わっているのかと思ったら、それが自然だったと。皆それぞれ違うけど、それを認めることが大切だと気づきました。力を得ることができました。
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