人はなぜ、一発屋に優しくなれるのか?
こんなに元気です。 一発屋と呼ばれて (単行本) ダンディ坂野(著) ※つぶやきシローと並ぶ、癒し系一発屋の代表格。ダンディ坂野がテレビから完全に消えない理由、この本を読めば分かります。 |
その手の番組では、あくまでも歌手や俳優が中心。芸人は脇役であり、大して掘り下げられることもなく、限られた時間の中で昔のネタをやらされて終わり、というパターンが続いていました。それが、最近は一変。あくまでもお笑いをベースとしながらも、どん底でのエピソード等もたっぷり紹介し、人間的な側面にまで踏み込んでいます。
なぜ、これほどまでに一発屋がクローズアップされるようになったのか? そこには大きく分けて3つの原因があるように思えます。
1.当然ながら懐かしさ
「あ~、あったあった」と“あるあるネタ”でなくても妙に感心してしまうのが不思議。ナツメロだと少なくても10年以上前の歌じゃなきゃ懐かしくならないのに、お笑いだと先の小島よしおや、タカトシの「欧米か!!」くらいで充分アリなのも謎です。それだけサイクルが早いってことなんでしょうか。2.大不況下ならではの同情
リストラ、ワーキングプアなんて言葉が世間で広まって、明るい未来予想を描きにくくなってきた昨今。天国と地獄を見た一発屋芸人は、バカにする存在ではなく、自分以上の苦労を味わった“仲間”という感覚があるのかもしれません。3.同業者の美しい友情
爆笑問題、くりぃむしちゅー、ネプチューンなどの中堅がゴールデン枠で看板番組を持つようになった今、昔の仲間が沈んでいるのを見過ごせず、彼らを生かせる企画を考えたのでは。見事一発屋からの脱出を果たした有吉は「アメトーーク」の中で、一発屋の派閥立ち上げを宣言してましたが、あながちネタに思えないのは、当ガイドだけでしょうか?苦労したことで確実に一回り成長した一発屋の面白さが、ここにきて多くの人に認められ初めました。別に一発屋が全員面白いとは言いませんが、この先日本が不況から脱出するまでは、まだまだ彼らに対する温かい視線は続く気がします。
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