『ぶらり旅』って本当に「ぶらり」と行くの?
所さんの「ダーツの旅」が田舎番組ブームのきっかけでした。『所さんの沖縄ベース』(NEKO MOOK) |
「ぶらり~」といったタイトルの旅番組でも、本当にぶらりと出かけるのはリポートするタレントさんだけだったりもします。もちろんそれは、番組を面白くするためや、詳細なスケジュールを決定するために必要なことで、「やらせ」とか「捏造」などとは全く掛け離れたものです。
1970年にスタートし、旅番組の最長寿格ともいえる『遠くへ行きたい』(日本テレビ系)では、初代リポーター・永六輔が、打ち合わせも台本もないまま、まさに「ぶらり旅」する様子が番組になることもありました。ただ、その手法が広まらなかったのは、やはり事前取材が必要だという共通認識があるんでしょう。
田舎は「行き当たりばったり」が面白い
ただ、それでは確かに美しい風景や、美味しい名物を紹介することは出来ても、その地域に暮らす人々の表情はどうしても「よそ行き」のものになってしまいがち。飾らない笑顔はもちろん、リラックスしきった無表情だって、そこには演出で描けない楽しさや驚き、時には感動が伝わってきます。「ダーツの旅」が、なぜダーツかというと、何かの名産があったり話題になった場所へ行くのではなく、何の打ち合わせもなくロケの場所を決めてることを見せるためです。大した特徴のなさそうな場所に行っても、人々の生の声と表情があれば、充分コーナーとして成立することは、10年以上続く長寿企画であることが証明済みです。
また『鶴瓶の家族に乾杯』も、そのルーツになる番組が『さだ&鶴瓶のぶっつけ本番ふたり旅』(95年)だったことから分かるように、何の打ち合わせもなく鶴瓶とゲストが地域の人々と触れ合う様子が描かれます。偶然やハプニングが大好きな鶴瓶師匠にとって代表的な番組なのかもしれません。
『田舎に泊まろう』については、泊めてくれる人がいい人ばかりで、毎回感動的なシーンが展開しているので、「正直どうなんだろう?」と疑問が生じることもあったりなかったり……。まあ、これも当ガイドの勘繰りに過ぎないのかもしれませんが。
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