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なぜ人は高田純次に憧れるのか?(2ページ目)

誰もが憧れる平成の無責任男・高田純次。しかし、その「テキトー」ぶりは誰にも真似できるものじゃない。だったら、なぜ我々は純次の行動、発言に爆笑し、魅了されるのか。適当に、いや徹底解剖します!

広川 峯啓

執筆者:広川 峯啓

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「植木」と「高田」の違いとは?

植木等が昭和の観客に見せた無責任な姿、それは映画であり、テレビの中のコントであり、いずれも「作られたもの」でした。一方、高田純次が見せるテキトーぶりは、スタジオでのトークだったり、ロケ現場でのやり取りだったりと「生の姿」なのでした。

おそらく高度成長期の人々は、無責任男が現実に存在しないからこそ、安心して笑うことができたのでは。「こんなヤツはいないよ!」と笑い飛ばせたのでしょう。

ところが、平成の無責任男の方は、テレビ番組のトークでも、台本に書いているとは思えないようなテキトー発言を、マシンガンのように並べ立てます。また彼の周囲にいる人も「あんなテキトーな人はいない」と批判しますが、高田純次にとってはそれこそが最大級の賛辞だったりするのです。

素顔を「見せない」のではなく「見えない」

最近のお笑いタレントの中には、テレビカメラの前と楽屋ではガラリと人格が変わってしまうことを、むしろ売りにしている人も少なくありません。番組上では大暴れしても、楽屋では寡黙でじっとしている、ということを他の芸人にバラされて、必死で否定しているところが逆に面白かったりします。

ところが高田純次の場合は「実は真面目な人なんです」なんて、周囲の誰もが言ったりしません。視聴者の中には「たぶんあれが素の姿かも」と思ってる人も少なくないことでしょう。

それこそが「平成の無責任男」と呼ばれる何よりの理由でしょう。コントや映画で無責任なことをしても、爆笑されたり拍手されたりはしても、今の時代では「無責任」だとは誰も思いません。だからこそ、高田純次ひとりが輝いて見えるかもしれません。

昔の芸風と少しもブレてない凄さ

彼の凄いところは、あの伝説の番組『天才たけしの元気が出るテレビ』にリポーターとして出演していたときから、まったくスタンスが変わっていないことではないでしょうか。20年以上の長きに渡って第一線で活躍しているタレントを見回してみても、昔の芸風と少しもブレてないのか高田純次ただ1人ではないでしょうか。

芸歴や年齢から見ても、とっくにスタジオの中心で納まっていればいいようなものなのに、いまだに嬉々としてロケーション企画に出かけている姿には、まったくもって感服するしかありません。「テキトーにやってください」と指示されて、そのとおりテキトーさを発揮し続ける。これって実は責任感がなくてはできないことなのかもしれません。

そのあたりのジレンマを高田純次自身がどう解消しているのかは、端から見ていても一向に分かりません。ただ、毎度毎度その辺の摩擦をまったく感じていないかのように見えることは確かです。

そう言えば小劇場出身にもかかわらず、ドラマや映画出演が意外に少ないのも、不思議と言えば不思議ですね。これだけの知名度があれば、いくらでもオファーありそうなものですが。

おそらく彼は「高田純次」という役を日々演じることで、充実した人生を送れるのかもしれません。……、なんて本当にまとめっぽいことを書いてしまいましたが。そんな在り来たりの批評に収まってしまう人ではないような気配も、そこかしこから見えてくるところが、厄介な人なんですよ。ライター泣かせというか(笑)。

唯一断言できることは、高田純次に憧れてしまうのは、ストレス過多の社会人にとって当然のことであり、もちろん当ガイドもその1人です。しかし、間違っても目指しちゃいけません!ってこと。高田純次になれるのは高田純次だけ。下手に真似すると間違いなく大ケガしますよ(断言)。



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