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“エンタの神様”について考える(2ページ目)

毎週土曜、高視聴率を獲得し続ける人気番組“エンタの神様”。多くの視聴者から支持を得る一方で、番組作りの姿勢を良しとしないお笑いファンも存在します。では何故エンタは評価を二分するのでしょうか?

執筆者:金田 有朋


ネタ番組という括りから離れて考えてみる

ネタ番組の代表格、オンバト。人気の芸人は個別のDVDが多数発売されています。
ネタ番組の代表格オンバト。特定の芸人にスポットを当てたDVDも数多く発売されています。
こういった潮流の中、よく比較対象に挙げられるのがNHKの“爆笑オンエアバトル”。観客が投票したゴルフボールの数でオンエアの可否を決めるシビアなネタ番組です。正直、私自身も一時期のピークを過ぎたとはいえオンエアバトルの方が魅力的なネタ番組だと思っています。

そこでふと考えました。

“エンタの神様”はネタ番組じゃないのではないだろうか?

いきなりで恐縮です。どういうことかというと、エンタを「バラエティ番組」ととらえてみました。通常、ネタ番組といえば芸人が作ったネタをある一定時間の中で披露するものです。ちょっと大げさに言うと、そこには芸人の個性があり、思いがあり、ウケるウケないに一喜一憂のドラマがあります。

もちろん、バラエティ番組と呼ばれるものやエンタ自体に個性や思いが皆無だというわけではありません。ですが、例えとして“SMAP×SMAP”をイメージしてみてください。この番組の中には、大概何本かのコントが組み込まれています。しかし、これらのネタはSMAPのメンバーがファミレスあたりで夜な夜な作っているのではなく、作家という職業の方々が台本を作っています。それをSMAPが演じているといった構図です。エンタはネタ番組の表情をしている一方で、こういった要素を大いに含んでいます。

ちょっと遠回りしましたが、エンタでは100%芸人が作ったネタを放送しているのではありません。0%~100%の幅で番組サイドの作家も大いにネタを作っています。芸人がネタを作らずネタをやる。という不思議な構造が何食わぬ顔で行なわれています。ですから、こうなったら「バラエティ番組」なのではないかと思うわけです。

バラエティ番組に問われる出演者の特性

初期エンタからブレイクした波田陽区。
初期エンタにバッチリはまった波田陽区。ネタの印象から一皮剥けるべく、最近はギターを持っていませんね。
となると、今度はエンタに出演する芸人の質が問題になってきます。前述の通り、ネタの表情をした「企画」に近しい要素がある番組なので、番組の意向にマッチした芸人が好まれます。ネタ作りに対する強烈なこだわりを持っている芸人には水が合いません。言い換えると、「自分の世界観を番組の中で発揮する」というより、「番組の世界観を自分を通して発揮する」というか。だからエンタに定常的に出演する芸人はどことなく共通項が生まれてきます。インパクトや外見の良さは目立つものの、以外なほどネタの奥行きは少なかったりしますよね。

ただし、この世界観は揺るぎない強みとして「圧倒的な分かりやすさ」を兼ね備えています。もっと言うと「難しくない笑い」。だからこそ番組としては構成・演出の面で非常に計算されており、エンタ独自の統一感を醸し出すことに成功しているのでしょう。「芸人」よりも「エンタ」そのものが視聴率を生み出す箱となっているわけです。

さぁ、では芸人たちはどのようにエンタに挑めばよいのでしょうか?
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