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「ユルい番組」が持つ面白さをユルく考える(2ページ目)

例えば「トリビアの泉」って、どこにジャンル分けされるんでしょうか?芸人は出ているけど、特に笑わせようとしてないし、出てくる情報も役に立たないものばかり。そんな「ゆるい番組」たちに焦点を当ててみます。

広川 峯啓

執筆者:広川 峯啓

お笑い・バラエティ番組ガイド

「ユルさ」を応用して、視聴率アップも

もともと深夜番組の制作方針として「ある程度、自由に作ってもいいが、予算はあまりかけられない」というのがありました。したがって、派手さは無いものの今まで見たことのないタイプの番組が数多く生まれました。それらの精神を「ゆる」バラエティは見事に受け継いでいるのです。

その精神を一言でまとめると、リラックス・アンド・ニュートラル。少子高齢化社会の中で、年々視聴者層の平均年齢も上がっています。やたらとテンションの高いバラエティには付いていけなくなった視聴者には、待望のプログラムでした。

こうした「ゆる」ブームは、従来のバラエティにも影響を与えつつあります。先ほど、内容を濃くするために長時間収録して、いいところだけを編集していると延べましたが、いつしか、1時間に編集するための素材で90分の番組を作ることが可能になってきました。

同じように2時間SPと同じ収録時間で、3時間SPが完成します。以前は3時間の番組なんて、年末年始の特番でなければありえなかったものの、今では頻繁に放送され視聴率を獲得するようになりました。

理由の一つとして、視聴者のスタイルに変化が生じてきた事が考えられる。つまり、テレビは真剣に見つめるものから、まったりと眺めるものへと変貌しつつあるのです。

「ぶらり」の成功がテレビを変える?


その具体例として長寿番組の「ぶらり途中下車の旅」があります。コレまで土曜の朝に30分番組として人気を博していたを、新コーナーなど差し挟むことなく60分番組としてリニューアルし、これまで同様の高視聴率をマークしています。

こうした流れから見て、今後多くのバラエティが60分から90分へと伸びていくのではないでしょうか。現在プライムタイムに、60分のバラエティが3本並んでいる枠が幾つかあります。その3番組のうち、いちばん視聴率の低い番組を除いて、残りの2番組を90分のものにすれば、制作費は大幅に縮小されながら、逆に平均視聴率は伸びることになります。

もちろん、大きな改革になるためすぐに実現とはいかないでしょうが、どこか一局で成功すれば、すぐに全局で実施されることでしょう。時代は「軽薄短小」から「軽薄長大」へと変化を遂げていくようです。
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