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「ユルい番組」が持つ面白さをユルく考える

例えば「トリビアの泉」って、どこにジャンル分けされるんでしょうか?芸人は出ているけど、特に笑わせようとしてないし、出てくる情報も役に立たないものばかり。そんな「ゆるい番組」たちに焦点を当ててみます。

広川 峯啓

執筆者:広川 峯啓

お笑い・バラエティ番組ガイド

はじまりは「ゆるキャラ」だった

いま、バラエティの世界に「ゆる」ブームが来てます。いや、来てますといっても玄関先でピンポンピンポンとインターフォンを何度も押されて、少し開いたドアに靴先を押し込んで、無理やり入り込もうとするような押し付けがましい来かたとかじゃなく、何となくどこからともなくやって来たって感じですが。

最初に「ゆる」という言葉が広まったのは、何と言っても、みうらじゅん命名による「ゆるキャラ」でしょう。これは「ゆるいキャラクター」を略したもので、地方公共団体のPR用に生まれた、どことなく独特なたたずまいを持つ着ぐるみキャラクターたちの総称。

数年前にNHKでも紹介され、大きな話題を呼びました。また最近では、あの「TVチャンピオン」(テレビ東京)で「ゆるキャラ王選手権」が開催されたほど、その脱力的な魅力は全国に浸透しています。

それに続いて、広く浸透してきたのが「ゆる体操」です。普段無意識のうちに力を入れている体をゆるめることで体を軽くする体操で、All Aboutのなかでも「ストレス」のガイドサイト内で詳しく解説されています。

ユルさの限界をいく「なぎスケコンビ」


そのうちにテレビ番組の中にも「これは相当ゆるいぞ」と思える番組が増えてきました。その一つに『「ぷっ」すま』という番組があります。午後11時台の番組ながら常時2ケタの視聴率を獲得する人気番組ではありますが、これほど「ゆるい」バラエティを私は知りません。

メインはSMAPの草なぎ剛とユースケ・サンタマリアの「なぎスケコンビ」で、ゲストと一緒に対決で競い合うというコンセプトです。毎回、対決方法には様々なアイデアが施され、人気シリーズになってるものも少なくありません。

しかし、対決に参加する2人のテンションが、ほかのバラエティのMCと比べると、どこか冷めてるような、かと言って決してやる気がなくて流しているようでもなく、要するに「ユルさ」全開な訳です。

時代が「ユルさ」に追いついた

また、この春から始まったNHKの「ゆるナビ」では、「ゆるさ=スローライフ」という捉え方で、日々の暮らしの楽しみ方を紹介していく、見ていて和める番組です。夜11時からの放送ということで、番組HPにも「お休み前のひとときに」と書き添えられているところにも、そこはかとないゆるさが感じられます。

では、なぜこういった「ゆるい番組」が登場し始めたのでしょうか? そこには日本人のライフスタイルが、ここ数年で変化を見せてきた事が大きくかかわっているようです。

最近の流行語といえば「ゆる」のほかにも、「癒し」「ロハス」「ヒーリング」と、似通った意味合いの言葉が次々に登場しました。
今から十年ちょっと前のバブル崩壊直後にも似たような雰囲気がありましたが、最近の傾向には何となく余裕のようなものが見られます。

過激なバラエティの反動としての「ユルさ」


つい最近まで、バラエティは極端さを目指してたような気がします。新聞、雑誌の番組欄にも「爆笑!」「感動!!」「号泣!!!」といった言葉が並んでいました。番組の1本あたりの収録時間がどんどん長くなっていったのも、こうした風潮の中で凝縮された内容を求めていったからでしょう。

そういったやり方は依然として健在ですが、その一方で、これまで視聴率競争には縁がないと思われていた紀行番組や、動物もの、文科系バラエティ等がが期待以上の数字を上げるようになってきました。そんな中で新たなジャンルとして生まれてきたのが「ゆるい」バラエティでした。

「トリビアの泉」に代表される、こういった番組は、役に立つ情報を伝える訳でもなく、かといって視聴者を爆笑させようとしている訳でもない。何より出演者がかなり緩い雰囲気の中でまったりと進行しているのが特徴です。

初めのうちは深夜番組として放送されていたものが11時台に昇格し、さらにゴールデンへとランク・アップ。こうした流れでいくつもの「ゆる」バラエティが、人気を獲得してきました。

「ユルい」バラエティの未来は?
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