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今のお笑いブーム、昔に比べてどうなのよ?(2ページ目)

空前のお笑いブームと呼ばれている昨今。テレビをつければお笑い芸人が溢れている時代。とはいえ、お笑いブームは定期的に起こってきた現象。今回の記事では、そんなお笑いブームの今と昔を比較します。

執筆者:金田 有朋

今がお笑いブームなワケ

バリエーション豊富なネタ番組が流行る今のお笑い。社会や経済との関連性って?
実際のところ、ネタ番組がブームになっているいまの「お笑い」は、「社会」とか「経済」とか言われるものと分かちがたく関連があると、私は思っています。さてそれはどんな関連性なのか。2つのポイントに分けて紹介します。

情報過多の時代、受け手の選球眼が上がった

まず、現代が情報化社会であること。情報の氾濫が叫ばれてずいぶん経ちますが、何もこれは新聞報道等の難しい話だけではないと思います。生活のリアルな場面でもそうです。無論、お笑いも。これだけあらゆる情報が手に入ると、ちょっとやそっとのことでは一般の方々は満足しません。人と違うことをしなければ、人に覚えてもらえません。そうすると、売れたい人間は工夫をします。特徴を際立たせようと考えます。とりわけ、お笑い志望の若者が増加し続けている昨今。よっぽど頑張って知恵を使わないと勝ち残れません。したがって、私はいまのお笑いブームのネタ番組に代表される「バリエーションの豊富さ」は、ブームと言えど、立派だと思っています。

例えば、これまでお笑いコンビといったら「ボケ」&「ツッコミ」が当たり前でした。ボケがおもしろいことを言って、ツッコミがつっこむ。しかし最近ではその枠だけにとどまりません。「ツッコミボケ」なんていうポジションも出来上がり始めました。「おぎやはぎ」なんかが典型例かもしれません。また、「笑い飯」のWボケ&Wツッコミというのも従来に無かったスタイルです。あるいは「POISON GIRL BAND」のように普通の会話をしながら、ゆる~く漫才を進める、掴みどころがない笑いのパターンもあります。

要は、お笑い芸人人口の母数が増えただけに、そこに埋もれない努力をする必要も増えたわけです。そしてそれに気付き、邁進してきた芸人たちが、晴れてテレビで活躍し人気者になる。そんな図式が出来上がりつつあるのではないかと思います。平たく言うと、サッカー人口が増えて、競争が激化し、日本サッカーのレベルが上がったようなものです。

就職難が若者を「お笑い」に向かわせた

さて、「お笑い」サイトを語りながらいよいよお堅い感じになってきてしまいましたが、バブル崩壊後の日本を取り巻く不景気と倦怠感も「お笑い」に関係があると私は踏んでいます。具体的に言うと「就職難」。一生懸命勉強して大学に入れど、行きたい会社に入れる人は一握り。さらには、行きたい会社さえ見つからない、就職するモチベーションが上がらない、なんて人もたくさんいます。こういう人が増えたことは紛れも無い事実です。

では、彼らはどうするか?「だったら好きなことをやろう!」こう考えるのは自然の流れです。なんら目的無く、時代のせいにしてこれを謳う若者もいるので、全肯定はしませんが、あながち無理な選択とも思えません。幸いなことに大学という場は社会的にみて「時間」と「余裕」に満ちています。音楽にしろ、お笑いにしろ、自分の興味に取り組むチャンスは山のようにあります。しかも、それに比例するかのように「お笑い養成所」なるものも増加しています。したがって、「とにかく就職して社会人になる!」と、「何があってもお笑いで飯を食う!」の二極分化ではなく、間の選択肢としての「お笑い」が生まれ始めました。これは過去のお笑いブームには見られなかったことだと思います。

いやぁ、お笑いブームって奥が深いですね。本当に。で、まぁ私的にはお笑いが大好きなので、新しい芸人が次々出てくることは喜ばしいことだと思っています。
とはいえ、生き残るのはメチャクチャ難しいのがお笑いの世界。人気を博して紅白まで出て、しかしその翌年にはブラウン管にも居やしない。ということがあるのも事実です。
見ている側は気楽ですが、やってる側はそれこそ死に物狂いでしょう。
そんなブームと、厳しい現実から抜け出し、これまでにない笑いを作り出してくれる人たちを私は大歓迎したい気分です。
さて、明日の笑いを創造するのは、いったい誰になるのでしょう。

記事も書き終わったことなので、今宵もまたお笑い番組を見ることにします。

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