宝塚ファン/宝塚歌劇団 トップスターの変遷

雪組・彩吹真央――退団(2ページ目)

2010年4月25日――雪組スター・彩吹真央さんが『ソルフェリーノの夜明け』『Carnavale 睡夢』千秋楽にて宝塚歌劇団を卒業しました。伸びやかで優しい歌声が1番の魅力のスターでした。

桜木 星子

執筆者:桜木 星子

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芝居、歌、ダンス……三拍子揃った実力派として活躍した彩吹真央さん。
『嵐が丘』では、わずか研3で、全場出演するゲイル役に抜擢されます。

そして多くの良きライバルと切磋琢磨した花組時代が始まります。
『源氏物語 あさきゆめみし』で新公初主演、『月の燈影』でバウ初主演と、日本物も達者。

しかし一番高く評価されたのは、やはり伸びやかで優しい歌でしょう。
はかなくて純粋な青年『エリザベート』のルドルフ、父親の大きな愛を表現した『ファントム』のジェラルド・キャリエール…。当時の花組トップ・春野寿美礼さんとの掛け合いは、聴く者の体中を震わせ、深い感動を与えました。

やがて雪組に組替え。
花組時代『ロミオとジュリエット'99』で、バウ初主演・水 夏希さんの二番手の役どころ、マーキューシオを演じましたが、この雪組でトップ・水 夏希さんの二番手となります。

『シルバー・ローズ・クロニクル』
(C)宝塚クリエイティブアーツ

3度目の『エリザベート』(最初は雪組初演、黒天使役)ではフランツを。息子ルドルフからわずか5年。その成長に驚かされます。
『シルバー・ローズ・クロニクル』ではピュアな青年エリオットを、『カラマーゾフの兄弟』のイワン・カラマーゾフでは心の影を表現する難役を好演しました。
そして男の友情が強く描かれた『マリポーサの花』のエスコバル。支え合い信じ合う水&彩吹のカッコよかったこと!

決して前に出過ぎず、だけどしっかりと観客の記憶に残す…。それが彩吹真央。
そしてどの役にも優しさが見えます。彼女本来の性格が出るのでしょうね。

またショーでも『ミロワール』のハートダンスの青年をはじめ、多くの名場面を作りました。

水 夏希さんを筆頭に誕生したユニット、AQUA5のメンバーでもありました。CDデビュー、テレビ出演、ライブなど宝塚内外で活躍し、宝塚の魅力をアピールしました。


二番手として活躍した生徒の多くはトップスターとなります。しかしここで彩吹真央さんは退団…。ファンの方々は残念に思ったことでしょう。

しかし彩吹真央さんは“二番手とは、トップの次とか下ではない、トップに限りなく寄り添い、もう一人の相手役だ”ということを教えてくれました。
彼女の存在は偉大で、まず誰よりもトップ・水 夏希さんを、つまりは雪組全体を支え、質の高いステージ、魅力ある雪組にしてくれました。

退団後はどう歩むのでしょうか…? できることなら、体がす~っとほぐれるようなあの優しい歌声を、優しい笑顔と共に聴かせてくれたら……と願います。

ゆみこさん……
お疲れ様。そしてありがとう。

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